香取慎吾が築いた「しんごちん」というキャラクターと関係性 さまざまな自分を作り上げる意味

 まだまだ「しんごちん」になってくれる――そう思った時に感じた安堵感は、もしかしたら「しんごちん」が「これが香取慎吾のすごいところのひとつだ」と一発で伝えられるアイコンだからかもしれない。香取がさまざまなキャラクターに扮していた『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が終了したのは2016年。気づけば10年近い年月が経っている。そうなると、あの姿を知らない新たな世代も育っていく。SMAPで育った世代と、新しい地図を広げて以降の彼らしか知らない世代の間に立つ、それがこれからの「しんごちん」というキャラクターに課せられた役割なのかもしれない。

 かつて、脚本家の三谷幸喜が雑誌『週刊文春WOMAN』2020秋号(文藝春秋)で香取と対談した際、香取に対して「志村けんさんのやっている枠を次に担うのはこの人だと思っていたんです」と話していた。「志村さんも、いろんなキャラクターを持っていらしたように、香取さんも昔からいろんなキャラクターを持っていて、それを入れ替わり立ち替わり出したりすることの出来る人」だと(※2)。

 志村もバカ殿様や変なオジサンを筆頭にさまざまなキャラクター姿で活動し続けることで、大御所と呼ばれるキャリアを築きながらも、『8時だョ!全員集合』(TBS系)を知らない世代の子どもたちからも変わらずに親しまれてきた。そんな志村がひとたび本気で楽器演奏をした時のかっこよさにも痺れたが、それが香取の「歌ってみた」動画にも近い感覚がありそうだ。

 YouTubeでは「しんごちん」を続けてもらい、またテレビでも慎吾ママやカツケンサンバなど、世代を超えて愛されるキャラクター姿で私たちを楽しませ続けてほしい。その時、きっと検索されるのは「SHINGO KATORI」ではないかと思うと、やはりチャンネル名はそのままでもいい気がする、というのが筆者の個人的な意見だ。

※1:https://x.com/ktrsngofficial/status/1930991818185064809
※2:https://bunshun.jp/articles/-/40097

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