トゲナシトゲアリ 夕莉×朱李、結成から2年で培ったプレイヤーとしての成長 日本武道館見据えるバンドの現在地

トゲナシトゲアリ 夕莉×朱李 対談

「どんどん頼りがいのある存在になっている」(朱李)

トゲナシトゲアリ 朱李

ーーでは、夕莉さんと朱李さんがお互いを見ていて、ステージ上で変わった点はありますか?

夕莉:朱李は初期の頃、ぴょんぴょん飛び跳ねて演奏している印象が強かったんですが、最近は重心低めでカッコいい動きになってきていて。先ほど話に出ていたベースソロも、普通にファンのひとりとして客席側から観たいと思うくらいカッコよくて、いつもステージ上で横からチラ見しています(笑)。

朱李:(笑)。夕莉は初期よりも動きが増えて、その動きもすごくカッコよくなってきているし、ギターソロも堂々と弾いていて。その姿を横目で見て、「私ももっと頑張らなきゃ、負けてられないな」って刺激をもらっています。

ーー夕莉さんも朱李さんも、ソロパートに入った瞬間「ここからは私が主役です!」とスイッチが入って、一段と輝きが増すようになった印象もあります。

朱李:やった(笑)。

夕莉:もともと緊張しやすいタイプなので、最初の頃はセンターに出てソロを弾くのも緊張するし、「わあ、ライトがめっちゃ当たってる、みんな見てる」みたいな感じだったんですが、あるタイミングから「緊張しすぎたら桃香になりきろう!」と考えるようになったので、もしかしたらそれでスイッチが入っているように見えるのかもしれないです。

ーー「空白とカタルシス」のラスサビ前のタッピングなども、披露されるたびに軽々とやっているように見えてカッコいいです。

夕莉:あそこはいつも「ヤバい、来る!」と思って必死に弾いているんですが、周りからは「緊張してなさそうに見えるよ」とよく言われます(笑)。

ーー演奏時の佇まいだけではなく、理名さんを含めた3人のステージ上での絡みもよりバンドらしさが増しています。

夕莉:最初の頃は自分のプレイと動きだけで精一杯だったんですが、最近は本当にみんな自由にステージ上を動いていて。「この曲のここでの動きは見たことない」という時に、理名が近くに来たりとか、本当にみんながライブを心から楽しんでパフォーマンスしているのがプレイヤーとしても伝わってきます。

朱李:いい意味でみんな「予想外の動き」がかなり増えましたし、それを見て自分も何かタガが外れるというか、どんどん自由で楽しいライブに変わっていったのかもしれないです。

ーー今日は不在ですが、バンドのフロントに立つ理名さんの成長や変化に関しては、お2人はどう捉えていますか?

夕莉:最初のライブからめちゃくちゃ歌が上手でしたけど、MCやパフォーマンスにあどけなさがあって。でも、最近は……。

朱李:頼もしいよね。

夕莉:うん。最近はパフォーマンス中、歌詞をしっかりと汲み取った動きをしていたり、MCも堂々としていたりと、最年少とは思えないくらい、周りを引っ張ってくれるボーカリストになったなと思います。

朱李:最近のライブでは私たちもMCをすることが増えてきたんですが、なかなか慣れなくて「ここで話すこと、どうしよう?」と悩んでいると、理名が「こういう感じで話したらいいんじゃない?」と率先してアドバイスしてくれて。どんどん頼りがいのある存在になっています。

トゲナシトゲアリ 夕莉

ーートゲトゲの楽曲は非常に難度が高いものが多いですし、特にアニメの主題歌や劇中歌として制作された楽曲群はより高い演奏技術が求められるものばかり。そこに追いついていこうとする中で、自分の中に蓄積されるものも確実にあると思いますが、例えば初ライブの頃と最近を比べて楽曲との向き合い方において変化を感じることはありますか?

夕莉: 劇中曲をたくさん演奏していくことで、「この曲は誰目線で書かれているのかな、桃香かな?」とか、アニメの中のトゲトゲの関係性を意識するようになって、結果として感情移入して弾けるようになってきたのかなと思います。なので、1stアルバム『棘アリ』収録曲は夕莉目線で弾いているけど、劇中曲が収録された2ndアルバム『棘ナシ』の曲は桃香的な意識で弾いてみる、という考え方ができるようになりました。

朱李:1stワンマンと2ndワンマンはテレビアニメ放送を挟んで時間が空いたので、その間に自分の演奏技術を上げて、アニメで知ってくれたお客さんをライブでノックアウトすることを考えていました。2ndワンマン以降はどんどんライブが続いていって、そのたびに新曲を披露することも増えて、余計なことを考える暇もなくなっていました(笑)。それによってありのままの自分を出せて、肩の力を入れずにライブに挑めるようになって。結果的に人としても、アーティストとしても成長できた期間になったと思います。

ーーでは、壁にぶち当たったりドツボにハマったりしてしまうようなことは?

朱李:もちろん、めっちゃありました(笑)。

夕莉:ぶち当たりまくりでした(笑)。最初は難しい曲をこなしていくことに精一杯で、「とりあえずちゃんと弾ければいい」と思っていたんですが、だんだんと「バンドとしてのまとまり」や「自分がバンドの中でどういう立ち位置でいるべきか」などを考え始めたら、自分の技術がまだまだ足りていないことに気付いて、すごく悩んで。会場もどんどん大きくなっていく中で、今までの自分の動きでは客席後方から観ている人が楽しめないんじゃないかと考えたり、演奏面もパフォーマンス面も壁だらけ。なので、まだまだ頑張り中という感じです。

朱李:やっぱり難しい曲だらけですし、加えてベースソロやMCだったり、次から次へと壁がやってくる(笑)。最近だと4月の『「ガールズバンドクライ」2nd Anniversary LIVE』のときに披露した、アニメ劇中で『BAYCAMP』に出演するシーンでのベースソロ再現が本当に難しくて。起きて練習、ごはんを食べて練習、お風呂から出てすぐ練習、みたいな生活を、本番までの1カ月近くずっとしていました(笑)。もっと言えば、「本番でソロがうまくできなかったらどうしよう?」とか、「失敗したら今後ベースをやっていけないかも」とか、自分を追い込んでしまって。本番は1回しかないのでめちゃくちゃ緊張しましたし、実際に成功したかどうかはなんともいえないんですが、でも「やらない」という選択肢も用意されていた中で「やらないと後悔するからやらせてください」と言ってやらせてもらったので、そこに悔いはなかったです。そういう意味では、メンタルもすごく強くなったと思いますし、技術的にも上がったと思うので……ぜひリベンジをさせてください(笑)。

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