Stray Kidsメンバーが手がけた『いつかは賢いレジデント生活』OSTが話題 ドラマとのリンクも大きな訴求力に

[언젠가는 슬기로울 전공의생활 OST Part 1] 리노 (Stray Kids), 승민 (Stray Kids), 아이엔 (Stray Kids) - START! M/V

 この現象の背景には、まず楽曲そのものの完成度があるだろう。「START!」は、心に優しく寄り添いながらも背中を押してくれるような、ポジティブなメッセージを携えたバンドサウンド中心のミディアムナンバー。楽曲に参加している3人は、それぞれが個性ある歌声を持ち、「START!」ではその特徴が美しく融合している。Seungminはまっすぐ伸びるクリアな高音で楽曲の軸を支え、I.Nは瑞々しく透明感のある声色で柔らかさを加える。そして普段はダンスパフォーマンスでグループを引っ張るLee Knowは、穏やかかつ包容力のある歌声で新たな魅力を見せてくれた。三者三様のボーカルが折り重なり、リスナーの心にやさしく語りかける。

 また、ドラマとのリンクも大きな訴求力となっている。『いつかは賢いレジデント生活』は、新米医師たちの日常と成長を描く ストーリーであり、「START!」が使用される場面は、登場人物の希望や前進を象徴する印象的なシーンばかりだ。視聴者はそのシーンに感情を重ね、楽曲への愛着を育んでいく。そしてドラマを観終えたあとに楽曲をシェアし、再生を重ねる。その自然な流れがバイラルヒットの構造を支えているのだろう。さらに、TikTokでは「START!」のサビに乗せた動画投稿が増え、ファンによるカバーやリアクションも目立った。X(旧Twitter)やInstagramでは「#START_OST」や「#いつかは賢いレジデント生活」などのハッシュタグで共感の声が可視化され、ドラマのファンダム、そしてStray Kidsのファンダムの外側へと話題が波及していった。

 Stray Kidsは、2023年の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)初出場や東京ドーム公演の成功などを経て、日本国内での知名度を着実に上げてきたグループだ。そのなかで、今回のようなユニット活動で彼らの歌声とその完成度の高さが作品として高く評価されたのだろう。

 「START!」のバイラルヒットには、作品の音楽的魅力、ドラマとの相乗効果、そしてアーティストを支えるファンダムの熱量という3つの要素が見事に噛み合っていると言えると思う。K-POPの文脈においては、OSTが新たな入口となりアーティストへの関心が高まるという現象がよく見られるが、「START!」はその象徴的な成功例とも言えるだろう。心にすっと届くメロディ、言葉を超えて伝わる感情、その背後にある物語、ファンの想い。それらが音楽を拡げる推進力となることを、この楽曲が改めて教えてくれた。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-05-28

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