G-FREAK FACTORY、真っ暗な時代の確かなアクション 思考を刺激し出会いを祝福した『HAZE』ツアーファイナル

G-FREAK FACTORY『HAZE』ファイナルレポ

 原田季征(Gt)の強烈なギターリフが空を切り裂く「SOMATO」や「Unscramble」、吉橋“yossy”伸之(Ba)の地鳴りのようなベースから幕を開ける「乞え -KOE-」、すっかりバンドに溶け込んだLeo(Dr)の爆走ビートが牽引していく「BREAK ADDICTION」……など新旧織り交ぜた怒涛の終盤を経て、本編ラストを飾ったのは「Fire」。時には自分の弱さのせいで折れそうになっても、とんでもない演奏を叩き出すメンバーに奮い立たされながら、その音に負けないよう歌い続けてきたのがG-FREAKの歩みだという。「不器用でも不細工でも関係ねえ」と茂木は叫ぶ。重ねてきた出会いがガソリンになって燃え盛る炎があるならば、それこそが今の時代に信じられる確かな光ではないだろうか。〈Keep on fire〉ーー茂木の渾身の咆哮がオーディエンスの内なる導火線に火をつけた。

 アンコールでは本ツアーに寄せた意気込みが吉橋から語られた。前回のツアー(『“RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024』)でファイナルの会場となった渋谷Spotify O-EAST、そして今回のZepp DiverCity(TOKYO)は、どちらもコロナ禍で回ったツアーの会場でもあり、制約も相まってどこか不完全燃焼だったコロナ禍中の公演をリベンジする意味合いも含まれていたのだという。一つひとつ着実に乗り越えていく“背中”を見せることもまた、ロックバンドの揺るぎない役割なのだろう。「Parallel Number」は茂木に刺激とシンパシーを与えたサッカー選手との出会いがきっかけになって生まれた曲だというが、文字通り、パラレルナンバー(=33)が“背中”に刻み込まれたユニフォームをまとい、茂木は〈all I need is to be myself〉という想いをじっくり歌い上げる。35カ所を巡った本ツアーを振り返って「どのローカルも良かった」と感慨深げに語った茂木だが、そういった数多の出会いを重ねながら、これからもG-FREAKは〈痛みが癒えるまで正解に変える旅〉を続けていくのだろう。未来に向かって一歩一歩踏み出すような、スケールの大きな演奏が沁みる。

 ラストの「日はまだ高く」では、そんな未来を担う子供たちをステージに上げ、一緒に飛び跳ね、合唱しながら大団円を迎える。茂木が「ライブ楽しかったか?」「また来てくれるか?」と聞いて、少年が「はい」と答える微笑ましい場面も。とても素敵な光景だ。こんな風に互いの職業や生い立ちをよく知らない老若男女が、肩を組み笑いながら同じ時間を過ごすというのは現実では難しいかもしれない。だが、それができるのがライブハウス。ここは守られるべき1つの砦のような場所だ。リスペクトとカウンター精神が宿った“ローカルプライド”を胸に、理想が現実になる日まで、G-FREAKは心に火を焚べて走り続ける。真っ暗な時代、行き先がわからないなら彼らについていけばいい。そう思わせてくれた素晴らしいツアーファイナルだった。

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