IS:SUE「come again」カバーやXG「IYKYK」サンプリングでも大反響 m-flo、リバイバルヒットが示す先進性
今ではテレビCMや(「THE FIRST TAKE」などの)YouTube動画を通して、数多くの2000年代の名曲が流れてくるようになり、「平成レトロ」といったトレンドワードがこの流れに拍車をかける。だが、近年のm-floのリバイバルヒットについては、そうした動きの背景にある「当時、幼少期を過ごした人々が社会の中心となったことによる変化」だけが理由ではないように感じている。身も蓋もない言い方をすれば、ただ当時のヒット曲を懐かしむだけであれば、ほかにも大ヒットした楽曲はたくさん存在するのだから(なんといっても、同年は一年に4曲もミリオンセールスを記録した楽曲が生まれた、「CDバブル」を象徴する年である)。
☆Taku Takahashiは、トレンドの捉え方について「僕がトラックを作る上で一番大事にしているのは、「耳の新しさ」と「身体の反応」の両立です。新しい音って、最初は違和感があるけど、気づいたらクセになってたりする。そういう感覚をうまく仕込めたらいいなと思ってます。トレンドをキャッチする方法としては、SNSや海外のDJセット、アンダーグラウンドシーンの動向は常にチェックしてますね。でも、ただ追うだけじゃなくて、自分の中で再解釈することが重要。最先端の音を、自分なりに料理する感覚を大切にしています」と語る。
当時(あるいは現在に至るまで)m-floの楽曲やパフォーマンスから感じられる、近未来的な質感や、しっかりと踊れる確かなグルーヴ。何より、その核となっている「全力で時代の先端を捉えようとする/した想い」が、今の時代では再現することのできない、だが確かにクールで唯一無二なものとして楽曲に刻まれていて、だからこそ、時代を超えて多くの人々を惹きつけ続けるのだろう。
今回の「come again」の再評価について、☆Taku Takahashi自身は次のように語っている。
「素直にすごくうれしいです。当時の僕たちは“今っぽさ”を詰め込むことに全力だったんですけど、それが時を経ても何かの共感軸として残っているのは感慨深いですね。時代が変わっても、感情の根っこの部分って変わらないと思うんです。孤独だったり、つながりたい気持ちだったり。そういう感覚を共有できるアーティストが、今また同じ曲に向き合ってくれていることに、音楽の面白さを改めて感じます」
本稿では過去の曲を中心に触れてきたが、現在のm-floもまた、2024年の「HyperNova」がTikTokの総再生回数1億回を超えるなど、着実に「今」を更新し続けている。そして、今の彼らの動きもまた、未来の若者たちを刺激するのだろう。