原因は自分にある。「因果応報アンチノミー」バイラル上位 不安定な世の中だからこそ求められる1曲に?

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの5月4日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:AiScReam「愛♡スクリ~ム!」
2位:Pixl Girl「STFU (feat. Sophie Powers)」
3位:原因は自分にある。「因果応報アンチノミー」
4位:JO1「BE CLASSIC」
5位:ライララ「YAJU&U」
6位:Zumi「Flower」
7位:中島健人「MONTAGE」
8位:Betty Boy「CHARAI」
9位:Maverick Mom「儚夏」
10位:オグリキャップ(CV:高柳知葉)「∞」

 今回は7人組ダンスボーカルグループ・原因は自分にある。の楽曲「因果応報アンチノミー」をピックアップする。同曲は4月24日にリリースされた彼らの4枚目のアルバム『核心触発イノベーション』のリードトラックとして4月14日に先行リリースされた。4月28日付のデイリーバイラルチャートに初登場1位でランクイン。以降、5月2日まで首位をキープ、以降も上位にランクインする強さを見せている。

 原因は自分にある。は2019年から活動をスタートさせている。自省を促すような個性的なグループ名、文学的かつ哲学的なモチーフをポップスの中に持ち込む独特のスタイルで、Z世代を中心に支持されてきた。

因果応報アンチノミー | 原因は自分にある。[GNJB]

 また、「因果応報アンチノミー」と同様にアルバムの先行曲として今年3月にリリースされた「LLL」は、.ENDRECHERI./堂本剛が楽曲提供した楽曲。.ENDRECHERI.主催のフェス『ENDRECHERI MIX AND YOU FES』に出演した際にパフォーマンスされ、話題を呼んだ。さらに4月18日に『バズリズム02』(日本テレビ系)、4月19日に『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)と立て続けに地上波の音楽番組へ出演。加えて、4月23日から「因果応報アンチノミー」Spotify Canvasシェアキャンペーンをスタートさせた。冒頭で触れたバイラルチャートのアクションは、こういったテレビ出演とシェアキャンペーンも要因であると考えられる。テレビ出演でグループの存在を認知させ、その直後にシェアキャンペーンを展開し、グループと楽曲をしっかりリンクさせたのだ。ゆえに、これまで彼らの存在を知らなかった層へのアプローチが成功し、原因は自分にある。と「因果応報アンチノミー」は、セットで知名度を上げた。

 「因果応報アンチノミー」は、音楽ユニット・キミのねとしても活動する久下真音が作詞、作曲、編曲を担当。細かい譜割りを見事なマイクリレーでつなぐアップチューンである。冒頭のラップ部分は、掛け合いのように展開するスピード感が魅力でじつにスリリングに仕上がっている。対してサビはロマンチックなメロディをしっかり聴かせるものに。構成や展開も大胆で、変拍子やリズムの変化がふんだんに織り込まれたカオスとも言える楽曲を、抜群のリズム感と安定した歌唱力でしっかりモノにしている7人のスキルはお見事。グループの中に低音を響かせるベースボーカル的な役割を担うメンバーがいるのも大きい。楽曲の随所でローボイスを響かせ、フックの役割を果たしている。サビでは一転して言葉に寄り添ったロマンティックなメロディをファルセットとチェストボイス(地声)を使い分け、見事に表現している。

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