「解散という選択肢のカードを破り捨てた」 R指定、5年の時を経て“青春”を解凍した復活ライブ

R指定、“青春”を解凍した復活ライブ

「俺たちが! R指定だ!」

 4曲目の「アイアムメンヘラ」のアウトロの余韻の中で、マモ(Vo)は渾身の力を込めてそう叫んだ。

 バンド全体を丁寧に支えるような宏崇(Dr)のドラム、破天荒なキャラと裏腹にしっかりメロディに寄り添う七星(Ba)、対象的なステージングで絶妙なバランスを保っているZ(Gt)と楓(Gt)――これがR指定だ。R指定が帰ってきたのだ。2025年4月18日、東京・Zepp Hanedaにて行われた『R指定 特別単独公演「桜花」』は、R指定の「解凍」にふさわしい祝祭感に満ちた一夜となった。

『R指定 特別単独公演「桜花」』(撮影=ゆうと)

 遡ること5年前、2019年12月29日の東京・両国国技館公演にて「凍結」宣言をしたヴィジュアル系バンド・R指定。昨年12月29日、突如公式X(旧Twitter)にて「臨時召集令状」と銘打った告知がアップされた。「全国の指定女子、男子(R指定のファンの呼称)諸君 二千十九年十二月二十九日ニ一度返却シタ青春ヲ持参ノ上、ゼップ羽田ヘ集結シテイタダキタク存ジマス。」という一文とともに。

 その一報はまたたく間に広がり、チケットはソールドアウト。「あの頃」と同様にCARPENTERS「青春の輝き」が繰り返される開演前のフロアにはバンドTシャツや色鮮やかなセーラー服、あるいはいわゆる「地雷系」や「水色界隈」的なファッションなどなど……、それぞれの「正装」に身を包んだ指定女子/男子たちがR指定との再会を今か今かと待ち望んでいた。

 ほぼ定刻どおりの開演だった。客電が落とされると、メンバー一人ひとりがゆっくりと登場し、横一列に整列していくたびに、フロアからは大きな歓声があがる。サイレンが響く中ステージ上方から鮮血のような真っ赤な花びらが舞い落ちる。一瞬訪れる静寂の後、「重大発表!」と拡声器を手にしたマモが「R指定の解凍」を宣言すると同時に、1曲目の「玉砕メランコリィ」へ。「万歳!」という歌詞に合わせてフロアからは喜びの手があがり、続いての「フラッシュバック」では特効が炸裂し「EROGRO」ではレーザー照明とミラーボールの光がダンサブルな楽曲を彩っていく。

 フロアを見つめ、ちょっと大きな声を出すと前置きし、「生きてるか? 生きてたのか? お前らの青春は今、返り咲いていんのか?」と煽るマモ。その問いに大きな歓声でこたえるオーディエンスたち。

 「青春には賞味期限はなく、それが美しいものだろうと、汚いものだろうと、記憶に残り続ける。そして今日から始まる人もいるでしょう。……その意味がわかるか?」と呼びかけ、「青春はリストカット」のタイトルコールにいくはずが5年ぶりのためか微妙に揃わない。

 不満げなマモが楓にふると「青春はぁ、リストカットぉ!」と可愛げを出す楓に「そういうのいいから、平成のギャル男みたいな先の尖った靴履いて……」と一蹴。そういったふざけたやりとりも、やはり「あの頃」を思い出す。その後の「喪失-soushitsu-」のサビでのシンガロングも、やはり「あの頃」と同じようにフロアに広がっていく。

 ピアノの優しい音色で始まった「ソメイヨシノ」ではスクリーンに桜が咲き誇り、一筋の光のようなギターソロの後に再び桜が舞い落ちる演出が美しかった。宏崇の囁くようなカウントから始まった「遺書」をマモは優しく歌い上げる。疾走感と切なさの合わさった「ラストレイン」を届けた後、楽器隊によるインストゥルメンタル「路地裏の女」ではメンバーそれぞれの見せ場を作っていく。

 旗を掲げたマモが白塗り軍服のダンサーを従えて再登場。ダンサーは過去に主催イベントでも共演し、R指定と縁の深い劇団・虚飾集団廻天百眼の仲間達である。彼らとともに「帝都に死す」、「愛國革命」とサブカル/アングラ色の滲むナンバーを畳み掛け、キラーチューン「毒盛る」、「國立少年-ナショナルキッド-」で本編を締めくくった。

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