ヴィジュアル系シーンとメロコア/パンクの関係性 MUCCからR指定 七星によるgivesまでを整理

ヴィジュアル系シーンとメロコア/パンクの関係性 MUCCからR指定 七星によるgivesまでを整理

 2019年12月29日に活動を「凍結」したR指定。 そのベーシストの七星が、オーディションに応募してきた那緒(Gt)と伊織(Dr)を迎えて2月に活動を開始したのがgivesだ。2020年2月に公開された「帝王切開」のデモ映像では、いわゆるメロコアを思わせる高速ツービート曲とともに、七星が“スリーピース”というコンセプトを語っている。

gives 帝王切開(demo)

 他に公開された曲も、メロコアやメロディックパンクに通じる音楽性のものが多い。2010年代を代表するヴィジュアル系バンドのメンバーである彼が、このような音楽性・編成の新バンドを結成した意味を、ヴィジュアル系と、メロコア/メロディックパンクの関係性を整理しながら考えていく。

 ヴィジュアル系の世間的なブームは、1990年代にピークを迎え、LUNA SEAの「終幕」などに象徴されるように2000年に収束していった。そして、日本のメロディックパンクシーンを牽引したバンド・Hi-STANDARDも、2000年に開催した『AIR JAM 2000』を最後に活動休止期間に入った(2011年に復活)。奇しくもヴィジュアル系とメロディックパンクの両方で、シーンの象徴となるバンドが2000年に活動を休止したわけだが、その後、Hi-STANDARDの影響を受けた、とくにスリーピース編成のバンドたちはむしろ勢いを増した。MONGOL800『MESSAGE』(2001年)や、HAWAIIAN6『ACROSS THE ENDING』(2003年)などの名作が生まれ、いわゆる青春パンクやメロコアとして主に若い世代に浸透していった。

Hi-STANDARD – Stay Gold [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

 彼らの熱く真っ直ぐな雰囲気は、繊細で耽美なヴィジュアル系の世界観とは真逆だったと言える。入れ替わるように人気が出たという状況も加わってか、彼らに批判的な態度のヴィジュアル系ファンやバンドマンもいた。MUCCの逹瑯(Vo)は、インタビューで「ヴィジュアル系っていうシーンが廃れて来て、メロコアの人気がグイグイ上がってきたとき、当時のいわゆるパンク系の音って好きじゃなかったもん」と発言していたこともある(引用:BARKS)。それだけでなく、彼らは「青き春」(2003年、『是空』通常盤初回プレス分付属のボーナスCD収録)で、粗い録音のメロディックパンクにのせて〈青い春の詩は聞き飽きた〉と歌っている。「絶望」「茫然自失」といった曲を演奏していた当時の彼らが、青春パンクブームに批判的になったのも無理はない。

 ただし、その後に彼らは態度を改める。同じインタビューで逹瑯は「でも、メンバーと話してみると、みんなすっげぇいいヤツで、すっげぇちゃんと考えて音楽やってて、真面目で」とも発言している。音楽的にも、『是空』の時点でメロコアを彷彿とさせる「商業思想狂時代考偲曲(平成版)」を発表。マイナー調のメロディと高速ツービートを合わせたこの曲は、HAWAIIAN6などと共通するところがある。その後も「謡声(ウタゴエ)」(2006年)といったメロコア調の曲を発表しており、こうした要素は彼らの一部となっている。

ムック / 謡声(ウタゴエ)

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