edhiii boi「スーパーヒーローになることが夢です」 歌うべき“歌”に導かれた18歳の今を語る

edhiii boi、“歌”に導かれた今

Chaki Zulu、KM、Xansei……プロデューサー陣から教わった制作の美学

edhiii boi(撮影=林将平)

――今回のアルバムには、Chaki ZuluさんやKMさん、R.I.Kさんなどさまざまなプロデューサーが参加されていますね。

edhiii boi:「大人になんてなりたくない」には、自分はかっこつけてこれからもずっと生きていきたいという意味を込めて、歌詞はキャッチーを超えて、ひたすら同じことを連呼して、メッセージ性も高いと思います。聴く側も明るく受け取れるし、クールにも聴こえる。最初はゴリゴリのHIPHOPをやりたかったけど、Chaki Zuluさんがギターを鳴らした瞬間に「これはヤバい!」と思って、その方向性で作っていきましたね。結果、僕の好きなロック調になりました。高校ラストを飾るのにふさわしい曲になったと思います。

 「忙しいんだわ」と「天才ギャング」は、「おともだち」もアレンジしてもらったネオンジェネシスせきちゃんにお願いして。この2曲では、僕が好きな2015年から2018年頃のBIGBANG全盛期のK-POPサウンドを再現したかったんです。当時のYG Entertainment系の音楽は、今のアメリカ寄りのK-POPとは全然違っていて、あの頃のBIGBANGのサウンドが嫌いな人はいないと思います。だから、それが好きな子たちがまた踊れるようになればと思って、そういった音楽性を目指しました。ネオンジェネシスせきちゃんとは、BIGBANGの曲やライブ映像を一緒に観て、どんな音楽を作りたいかを共有するところから始めました。そこから彼の持ち味でもあるロックテイストを活かしつつ、トラップのループ感も大事にして、ブリッジや展開を一緒に考えて。スタジオにも一緒に入ったんですけど、その時のミックスのリファレンスは僕が自分で作ったので、ふたりでの共同プロデュースのような形でした。

――なるほど。

edhiii boi:「全部僕のせい」では、Xanseiくんから“引き算”の重要性を教わりました。歌詞の余計なワードを削ることで、10年後に聴いても自分の気持ちが鮮明に思い出せる曲になったと思います。

――ご自身でも「ラブレター」のプロデュースを担当されています。

edhiii boi:小さい頃から「いつか自分のトラックで歌いたい」という夢があって。ただ、いざやるとなると不安もありましたね。それは技術的な心配というよりも、今回参加してくれた音楽シーンの最前線で活躍しているプロデューサーの方々と初プロデュースする僕の名前が横並びになることで失礼にならないか、という心配で。自分の名前がプロデューサーとしてクレジットされている曲を彼らが聴いた時に「なんだ、このレベルか」と思われるのがイヤだった。だから、本気でやろうと決めました。

BMSGアーティストの楽曲プロデュース、そして10代のうちに武道館に立つ

――どんなところにこの曲の制作の難しさがありましたか?

edhiii boi:曲のトップライン自体は、スタジオに入った当日に作れたんです。でも、テーマを「母親に曲を送る」に決めて、そこからどんな歌詞を書けばいいのかすごく悩みましたね。結局、そこから1カ月くらい歌詞がまったく書けなくなりました。最後はパズルのようにして、それまで書いたワードをつなぎ合わせて。 日髙さん、Novel Coreくん、Aile The Shotaくんも一緒にスタジオに入ってくれて、みんなで考えながら作りました。

――なんでこの曲の歌詞がまったく書けなかったんでしょうね。

edhiii boi:僕は母子家庭で育ったこともあって、小学校の頃は母の仕事の都合で、学校が終わってからもずっと学童保育だったり、家でひとりで過ごすことが多かったんです。もちろん母は愛情を持って僕に接してくれているのはわかっていて。でも、やっぱり仕事で早く帰ってこられないことも多かったので、その頃は正直寂しい気持ちを抱えていたのも事実でした。で、中学生になってダンスレッスンに通い始めたら、今度は僕が家に帰ってくるのが遅くなって、そこでまた母とすれ違うようになったんです。高校に上がる頃には、今度はBMSGに所属することが決まって上京したので、僕には家族と一緒に過ごした特別な思い出があまりないんです。

 でも、母にはすごく感謝していて。女手ひとつで子どもを育てるのは大変なことだと思いますし、僕自身、中学生の頃は呼び出しを食らうような生徒だったし、たくさん迷惑をかけたと思ってます。そういうことを振り返りながら、母への感謝の気持ちを曲にしたいと思っていたんですけど……やっぱり18歳の自分にはまだ恥ずかしさもあって(笑)。素直に「ありがとう」や「感謝」という表現ができなくて、何度も書き直しました。そういう大変さも含めて、今回のアルバムでいちばん苦労した曲ですね。

――高校卒業後の活動で楽しみにされていることはありますか?

edhiii boi:ずっと学生寮に住んでいたんですけど、この春新居に引っ越して、一人暮らしを始めまして。ようやく自宅にしっかりとした制作スペースを作れて、前からほしかったコンデンサーマイクやアナログコンプレッサー、モニターアンプなど、いろんな機材を使って音楽制作ができるようになりましたね。すでに音楽をやっている友達が遊びにきてくれたりして、引越し祝いに一曲歌って帰ってくれる人もいます(笑)。今後はそこでBMSGの仲間とも一緒に音楽を作りたいですね。

――自宅スタジオに本格的な機材を導入したことで音楽制作の視点が広がりましたか?

edhiii boi:プロデューサーさんやエンジニアさんとの会話の質が上がって、伝達が速くなりました。これまでは「これをこうしたい」と伝えるのが難しかったというか。たとえば、リバーブをもっと深くしたい時に、「声がファンファン鳴る感じにしたいです」という感じで感覚的に伝えていたところが、今はどのリバーブのプラグインを使ってどんな効果にしてほしいのかを、より具体的に伝えられるようになりました。レコーディング中にラフで録ったボーカルにガナリを入れたいと思っても、その時以上のものが出せないことがよくあったんです。でも、今は高品質なコンデンサーマイクを手に入れて、それで録音しているので、本番でそれを再現しなくてもラフ音源をそのままを使えるのが嬉しいですね。

――最後に今後の活動の展望を教えてください。

edhiii boi:いつか自分以外のアーティスト、できればBMSGアーティストの楽曲プロデュースをしてみたいです。そして10代のうちに武道館に立つ。そのためにもっともっと感度の高い曲を作って、いろいろな人を救っていけるスーパーヒーローになることが夢です。

edhiii boi(撮影=林将平)

■リリース情報
New Album『大人になんてなりたくない』
発売中

販売URL:https://lnk.to/edhiiiboi_20250409_CD
配信URL:https://lnk.to/edhiiiboi_IDontWanttoGrowUp_AL

・初回生産限定盤(CD&Blue-ray):XNBR-00001/B/4,200円(税込)
・通常盤(CD):XNBR-00002/2,200円(税込)

<収録曲(CD)>
01. 2025
02. 大人になんてなりたくない
03. 爆走 feat.Novel Core
04. 忙しいんだわ
05. マジだりぃ
06. 全部僕のせい
07. 花火 feat.SHU
08. ラブレター
09. 夏休み feat.School boi
10. 天才ギャング

<Blu-ray収録内容(初回生産限定盤)>
2024年1月26日『edhiii boi 1st ONEMAN LIVE ”満身創意”追加公演』@渋谷duo MUSIC EXCHANGE映像収録(全20曲収録)

■ツアー情報
『1st TOUR「大人になんてなりたくない」』
2025年5月31日(土)大阪・Banana Hall
OPEN 17:15/START 18:00

2025年6月1日(日)名古屋・ell.FITS ALL
OPEN 17:30/START 18:00

2025年6月7日(土)東京・Spotify O-EAST
OPEN 17:15/START 18:00

edhiii boi オフィシャルサイト:https://edhiiiboi.tokyo/
X(旧Twitter):https://x.com/edhiii_boi
Instagram:https://www.instagram.com/edhiiiboi_is_here/
YouTube:https://www.youtube.com/@edhiiiboi_official
TikTok:https://www.tiktok.com/@edhiiiboi

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