EXILE ATSUSHI、843日ぶりの“復活”で響かせる愛と感謝 生き方が反映されたツアー初日を観て

ATSUSHI、843日ぶりの“復活祭”

 トラディショナルな側面を垣間見せる人気カバーナンバーが、2曲続くのも大きな見せ場だった。「糸」(中島みゆき)は、のびやかな持続力で、1番と2番のフレージングを色分けしながら一息で歌う。繊細でいて力強いロングトーンは、ステージと客席を一直線で繋ぐ。「愛燦燦」(美空ひばり)では、ハンドマイクを持ちかえながら、ワンフレーズ、ワンフレーズを丁寧に歌う。純粋に歌を届けるというATSUSHI節を感じさせるパフォーマンスだ。

 「言葉にならないですね」とMCでしみじみ語るATSUSHIは、「いつまでも聞いていたい拍手」を浴び続ける。話題は、2年半前の活動休止タイミングに及び、自分がEXILE ATSUSHIであることも忘れかけたという。そんな折に「元気になったら一緒に歌おう」と励ましの連絡をくれた盟友・AIがスペシャルゲストとして呼び込まれた。

 ライブでは初歌唱となる共演曲「No more」と「Be Brave」で二人が声を重ねる。鋼の歌声を持つ者同士のグルーヴィーな掛け合いは圧巻。ステージ上と客席は、再び祝祭ムードに高まる。ATSUSHIとAIは、出会って20年以上になる。2025年は、AIがデビュー25周年を迎え、ATSUSHIは24年目に入った。その最初の出会いを記念する「So Special-Version EX-」で、『復活祭』ライブ共演を締めくくった。

 「涙が浮かんでくる」と呟くATSUSHIは、アンコールでグランドピアノに向かい、弾き語りを披露した。2023年の高校野球応援ソング「熱闘甲子園」テーマソング「フォトグラフ」はライブ初披露曲でもある。〈手と手を合わせて〉というフレーズが、ステージに上がる前のATSUSHIが手を合わせた瞬間と自然とオーバーラップする。「ATSUSHIという人生でよかったと思ってます」。ASTUSHIはサングラスを取る。「復活しました」とさりげなく発する一言が、ATSUSHIの体温を率直に伝える。2万人の観客に対する感謝と愛を込めた2時間15分間の初日公演だった。

三代目JSB 小林直己、40代を迎えた等身大の自分 ダンス、映画、アート、紅茶が積み上げる一つの道

EXILE / 三代目 J SOUL BROTHERS・小林直己が、40代の節目を迎えた等身大を表現する1st写真集『Art &…

HANA、羊文学、DISH//、EXILE ATSUSHI、LANA、Tele……注目新譜6作をレビュー

毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はHANA「ROSE…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる