“令和の三橋美智也”=福田こうへい 山川豊、八代亜紀、欧陽菲菲……ラブソングカバーの最高到達点

演歌歌手の福田こうへいが3月5日、漢字一文字をタイトルに掲げたシリーズの12作目となる『戀』をリリース。村下孝蔵の「初恋」をはじめ、山川豊の「アメリカ橋」、八代亜紀の「愛の終着駅」、欧陽菲菲の「雨の御堂筋」など、時代やジャンルもさまざまなラブソング12曲を集めカバーしている。
福田こうへいは、2012年に『南部蝉しぐれ』でデビュー。翌年の2013年には『第64回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に初出場を果たし、『第55回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)で新人賞を受賞した。亡き父は民謡歌手の福田岩月。自身も数々の民謡コンクールで優勝した経歴を持つことから、民謡と演歌/歌謡曲の二本柱でその名を知られた三橋美智也と重ねられ、現在では「令和の三橋美智也」との呼び声で人気を集めている。
そんな福田の“一文字シリーズ”は、「名曲を歌い継いでいきたい」という“歌”に対する真剣な思いから、2013年にライフワークとしてスタート。その第1弾である『響 ~南部蝉しぐれ~』は、シリーズ最高売り上げを記録。その後も、昭和から平成まで幅広いラインナップを収録した『煌』、1950〜60年代前半のヒット曲を収録した『魂 昭和の歌人たちを追いかけて』、任侠/股旅演歌をテーマにした『粋 ~任侠・股旅演歌を唄う~』、海にまつわる楽曲を収録した『濤』など、実に多彩なテーマで名曲カバー&オリジナル曲を選曲してきた。同シリーズは一貫して、時代や性別、音楽ジャンルも様々な楽曲がひとつの作品であることから聴く人を選ばず、どんな人でも楽しめることで人気を集めている。
今作で福田はラブソングに着目し、『戀』とアルバムを名付けた。演歌/歌謡曲の世界で恋と言えば、悲しい恋を歌ったものが定番だが、時代やジャンルを飛び越えれば、そこには無限の広がりが待っている。
今作の一曲目である「初恋」は、シンガーソングライター 村下孝蔵を代表する、甘酸っぱさあふれる楽曲であることから意外性を感じたファンも多いだろう。福田は同曲を実に爽やかに歌い上げた。演歌や民謡の独特の節回しやビブラートが抑えられた歌声に、新鮮さを感じる人も多いだろう。青春時代の淡い初恋の思い出がよみがえるような一曲だ。
「恋唄綴り」は、堀内孝雄のカバー。堀内もまた村下と同様フォークソングの出身ではあるが、ソロ歌手としては演歌/歌謡曲路線の楽曲を数多く世に送り出している。「恋唄綴り」は、フォークソングの持つ叙情感とポップスの親しみやすさを継承しながら、演歌/歌謡曲ならではの大人の女性の悲恋を歌ったもの。低音でささやくように歌った原曲を福田は、歌詞の主人公の女性になりきるように、透き通った高音で歌い上げている。






















