“短くても刺さる”2分台の楽曲はなぜ増加? 米津玄師、Creepy Nuts……変化に順応する新しいポップスの形
ヒップホップ的なノリや展開も新たなヒットの要因に
曲に多くの情報を詰め込めるようになったというのも、理由の一つとして挙げられる。現代の日本語ポップスでは、言葉をより多く乗せられるサウンドやリズムが追求されていると感じる。一つの拍に一文字以上の歌詞を乗せることは珍しいことではなくなり、短い時間でも十分に歌いたいことが歌えるようになった。さらに“キャッチー”であることが重視され、ワンフレーズで耳に残るような曲作りがポップスのシーンでは定石となっている。より多くのメッセージを短時間で、なおかつ説得力を保ったまま伝えること、すなわち楽曲の“効率化”が進んだことで、短くても刺さるポップスが増えたのではないか。
こうした意味で、近年のヒップホップ人気は象徴的だ。千葉雄喜「チーム友達」(2分32秒)、KOMOREBI「Giri Giri」(2分14秒)など、ここ最近のラップミュージックのヒットは2分台の楽曲が多い。Creepy Nutsも多くの曲が3分以内。GINTA & ODAKEi「UCHIDA 1」は3分1秒の曲だが、それでもかなり短い部類に入る。ヒップホップに由来するこれらの楽曲は、展開もシンプルで、どこかノリそのものを楽しむような雰囲気がある。近年の音楽環境の変化の結果、こうしたシーンからも多くのヒットが生まれるようになったと感じる。
かつて、笠置シヅ子「東京ブギウギ」(1947年)や美空ひばり「東京キッド」(1950年)などがヒットした戦後まもない頃は、2分〜3分台前半のヒットソングも当たり前であった。それは、そもそもアナログレコードのシングル盤に刻み込める曲の長さが限られていたからという物理的な理由にほかならない。だが、テクノロジーが進歩するに従って音楽も徐々に複雑/長尺化し、4分台前半の楽曲がヒットする時代もあった。
現在のポップスの“短縮化”は、そうした物理的制約のない時代に起きている。それは音楽を取り巻く環境が大きく変化したことで、ある意味で音楽そのものが順応した結果だと言えるだろう。現代のリスナーが求めるもの、そのニーズに応えられるよう進化した音楽の形が、今のヒットチャートに表れているように思う。




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