『プロセカ』×『あんスタ』コラボの意義、カルチャーの歴代交差 両者の世界線が再度交わる日は来るか
2025年2月に実装されたアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)と『あんさんぶるスターズ!!』(以下、『あんスタ』)のコラボレーションイベント。双方ともに10~20代の若年層に絶大な人気を誇るコンテンツであり、その点でもイベント開催前から多くの注目が集まっていた。
ビッグタイトル同士のタッグという点のみならず、今回のコラボでは双方のコンテンツにおいて、従来にはなかった新規のイベントや催しが行われたのも話題を集めたポイントだろう。だが、『プロセカ』の背景ともなるボカロシーンについて言えば、実は『あんスタ』との関わりは今回の機会のみに留まらず、以前からたびたび見受けられてきた印象もある。
ある意味でこのビッグコラボは、そういった小さくとも着実な縁の積み重ねが結実した結果でもあるのかもしれない。そこで、本稿では今回のコラボまでに見る両コンテンツの、さらにボカロシーンと『あんスタ』シリーズの交差の歩みに焦点を当て、コラボの功績と意義をあらためて振り返ってみたいと思う。
多数のVOCALOID楽曲で遊べる新時代のリズム&アドベンチャーゲームとして、2020年9月にサービス開始となった『プロセカ』と、アイドル育成ゲームを発端として誕生し、現在はリズムゲームとしての人気も高く、今春でコンテンツ10周年の節目を迎える『あんスタ』。思い返せば両者ともに、その歴史の分、これまでもたくさんのコラボイベントが各ゲーム内で開催されてきた。その多くを占めるのはいわゆる企業系コラボであり、各コンテンツのキャラクターたちが広告塔として各所に登場したり、各ゲーム内で企業商品を元としたアイテム/衣装の配布、楽曲実装などが行われるケースが多かった。
その中でも今回のコラボの類似ケースとなるゲームコンテンツ同士のコラボイベントも、両者ともにこれまでたびたび開催してきた。たとえば『プロセカ』に関しては、同じくSEGAによるアーケードゲーム『CHUNITHM』や『maimai』、『オンゲキ』などとのコラボをこれまでに行ってきた。sasakure.UK「the EmpErroR」やcosMo@暴走P「エンドマークに希望と涙を添えて」など、ボカロPとしての活躍が目覚ましいクリエイターらの楽曲が各ゲームへ移植されたことも話題となったほか、近年では動画サイト・ニコニコ動画の黎明期を支えた『東方Project』とのコラボも、大勢のユーザー/リスナーから注目を集めたイベントとなった。
一方の『あんスタ』も、各コンテンツとのコラボ実績は非常に多岐にわたる。過去には『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズや、直近では同製作元のHappy Elementsが手掛けるヒーロー育成ゲーム『エリオスライジングヒーローズ』(以下、『エリオスR』)ともコラボイベントを開催。両陣営のキャラクターによるコンテンツ内での相手方キャラクターに関する言及や、時には各コンテンツへの楽曲の“出張”やガチャの実装など、双方の世界観を行き来するイベントが時折行われていたこともある。
先述したように、それぞれがある程度の歴史を積み重ねた分、比較的“コラボ慣れ”していた各コンテンツ。だがそんな両者をもってしても、ここまでのボリューム感を伴った上で双方がコラボ内での交流を図ったのは、おそらく音楽を伴うゲームとしては史上初の機会とも言えるのではないだろうか。
今回のコラボでは、両コンテンツのキャラクターがそれぞれ明確に交わる様子が描かれたイラストが描かれ、それらを用いたガチャや共通の書き下ろし楽曲が実装された。さらに『あんスタ』では『プロセカ』のキャラクターがストーリー上に登場する期間限定イベントを実施し、『プロセカ』では本コンテンツの“伝家の宝刀”とも呼べるコネクトライブを『あんスタ』も含めた全ユニットが出演する形で2日間にわたって開催。そういった歴代でも類を見ない催しからも、本コラボの豪華さ、ならびに今回タッグを組んだ両アプリが頭一つ抜けた人気を獲得する理由の一端を感じることができるのではないだろうか。






















