『プロセカ』×『あんスタ』コラボの意義、カルチャーの歴代交差 両者の世界線が再度交わる日は来るか
ボカロシーン/ボカロPと交わる『あんスタ』の歴史
冒頭でも述べた通り、『プロセカ』に留まらずボカロシーンと『あんスタ』というコンテンツの歴史を振り返った際、これまでにもたびたび両者の線が交わる一幕があった。
今でこそありふれたものとなっている、ボカロシーン出身のクリエイターらによるコンテンツへの楽曲提供。双方のファンにとって最も印象深かったのは、2022年に『あんスタ』で展開されたカバープロジェクト「COVER SONG SERIES」内における、Switch & 2wink with 初音ミク & 鏡音リン・レン名義での「Tell Your World」リリースだろう。本曲では同プロジェクト内で唯一、アーティスト同士のコラボMC映像やMVも実装。同じ空間の中で両コンテンツのキャラクターによるパフォーマンスを楽しめるのは、大元を遡ればこれが発端だったとも言えるかもしれない。
さらに本曲の制作者・livetuneのkzは、これ以前にも双子テクノポップユニット・2winkに「Swee2wink Love Letter」「Play "Tag"」を提供。その後、ナユタン星人も2winkへ「トゥインクル空中戦」を提供したほか、まふまふがUNDEAD「Valentine Eve's Nightmare」とSpecial for Princess!「スキスキハンター♡」を作編曲するなど、複数の曲提供を行ったアーティストも存在する。
先日行われた『コネクトライブ特別版 Ensemble in SEKAI』内で披露された「Have you been naughty or nice?」(Flambé!)を作編曲した堀江晶太(kemu)も、『エリオスR』×『あんスタ』コラボ曲「We Are Light」やALKALOID & Crazy:B「SAKE OF LOVE」など複数曲を『あんスタ』内で手掛けている。さらに、『コネクトライブ特別版 Ensemble in SEKAI』では、baker作編曲の「Midnight Butlers」やゆよゆっぺ作編曲の「FIST OF SOUL」など、ボカロPらによる提供曲も披露された。双方のシーンを深く知る人にとっては、それもまた面白い一幕だったかもしれない。
また、今回ボカロシーンの最重要人物のひとりとも言えるDECO*27が書き下ろしたコラボ新曲「フュージョン」も双方のファンから厚く支持される1曲ともなった。『あんスタ』側には3DMV、『プロセカ』側には2DMVも実装され、コラボ終了後も各キャラクターの世界観を長く楽しめる点も大きなポイントだ。
イベント期間終了後も、本コラボにおけるキャラクター同士の交流の魅力を語る声や、コラボ自体の続編開催を望む声があちこちで散見されている。双方にとってこれ以上ない理想の交流ともなった、今回のコラボイベント。今後また両者の世界線がどこかで交わる日を、筆者も一ファンとして期待を抱きつつ待ちたいと思う。

























