Mrs. GREEN APPLE、加速度的に拡大するスケール 「ダーリン」は一人ひとりに寄り添う“揺るぎない願いの歌”

クラシカルなピアノのフレーズ、そして、〈負けない何かが欲しい/“私”だけの愛が欲しい〉というラインから「ダーリン」は始まる。Aメロの途中から弦楽器が加わり、楽曲に込められた想いが少しずつ広がっていく。2番からはバンドサウンドへと移行。ドラム、ギター、ベースが生々しく、個性的なフレーズを響かせ、それを壮大なストリングスが包み込む。中心にあるのはあくまでバンドサウンドなのだが、既存のフォーマットに収まることなく、自らの表現を超越しようとするスタンスが、この曲のアレンジには確かに込められている。
歌詞の軸にあるのは、“誰も一人ではない”というメッセージだ。嬉しいことも悲しいことも、人生の中で起きるあらゆる出来事は、決して一人では生まれない。すべての人は、望むと望まざるにかかわらず、他者との関わりを通して日常を営み、その中で様々なことを経験する。もちろん嫌なこともたくさんあるだろうが、裏を返せばそれは、“あなたは一人ではない”という証明に他ならないーーつまり「ダーリン」は、逃れることのできない悲しみや孤独を見据えた上で、“それでも誰かとつながることは素晴らしい”と聴く者すべてを肯定しているのだと思う。
そして言うまでもなく、「ダーリン」の中心を担っているのは大森元貴(Vo/Gt)の歌だ。目の前にいる人に語りかけるように歌い始め、すべてのフレーズを丁寧に手渡しながら、楽曲が進むにつれて、大らかなスケール感を生み出していく。それは単に歌が上手いだけではなく、曲に込めた想いやメッセージ、そして、“一人ひとりに届けたい”という切実な願いの賜物だろう。
どんなに売れても、どんなビッグアーティストになろうとも、自分たちは“あなた”に寄り添い続ける。「ダーリン」はそんな心持ちの表れなのかもしれない。
Mrs. GREEN APPLEは先述した『ミュージックステーション』、1月27日放送の『CDTV ライブ!ライブ! 3時間スペシャル』に出演し、熱を帯びた鬼気迫る歌唱で「ダーリン」を披露。SNSでも「TV越しとはいえあれほど心震えた歌唱に出会ったことない」「曲が良い、歌が上手いよりも、この大森元貴という人は曲と歌を一つにして“感情”を乗せられる」など大きな反響を集めている。表現者としての核を改めて示した「ダーリン」。この曲から始まる10周年イヤーは、JAM’S(ファンネーム)にとってはもちろん、多くの音楽ファンに豊かな感動や興奮を与えてくれることになるだろう。

























