連載「lit!」第133回:Mrs. GREEN APPLE、Official髭男dism、SUPER BEAVER……2024年を象徴する名作5選
Official髭男dism『Rejoice』
藤原聡(Vo/Pf)の声帯ポリープ治療によりライブ活動を休止していたOfficial髭男dism だったが、7月リリースの本作を携えて開催された全国アリーナツアーにて完全復活の狼煙を上げた。筆者もこのツアーを観たのだが、苦しみを乗り越え、再び観客の前で曲を届けられる喜びが伝わってくるライブだった。
そんな彼らの“喜び”が詰まっているのは、アルバム『Rejoice』も同様である。1曲目の「Finder」のイントロは、前作『Editorial』のラストに収録された「Lost In My Room」から繋がるもの。そうやって前作から続く物語を紡ぎつつ、藤原は〈Get Back To 人生〉と高らかに歌った。そして、ライブ活動休止中にリリースされた楽曲群も余すことなく収録したうえで、バンドの現在地点を証明してみせたのだ。アルバムリリース後も「Same Blue」「50%」と新曲リリースが続き、今年は大阪・神奈川で初のスタジアムライブも控えている。〈再び出会えた〉Official髭男dismの今後の活動に期待は募るばかりだ。
SUPER BEAVER『音楽』
今年4月1日に結成20周年を迎えるSUPER BEAVERが、昨年2月にリリースされたフルアルバムが『音楽』だ。「グラデーション」「ひたむき」といった既発曲も含めた収録曲のうち、音楽番組への出演時にもよく披露されていた「小さな革命」が特に印象深い。アルバムタイトルの由来にもなったという本曲で、彼らは〈音楽で世界は変わらないとしたって/君の夜明けのきっかけになれたら〉と歌っている。音楽自体が世界の問題を解決することはないが、音楽を通して人と人が繋がることで、たとえばその人がずっと迷っていたことを決断できるとか、そういった小さな変化は起こせるかもしれない。そんなメッセージこそ、いつだってライブで“あなた”というひとりの人間に歌い続けてきたバンドの姿と重なるように思う。彼らの音楽に対する向き合い方が伝わってくるアルバムだ。

























