今年の顔、もっと評価されるべき、ニューカマー、個人的推し……ライター4名が選ぶ2024年ベストアニソン
ニューカマー楽曲
音羽-otoha-「狂信者のパレード -The Parade of Battlers」
アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』OPテーマ
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に数々の楽曲を提供して話題をさらった音羽-otoha-による、自身初のアニメOPテーマを担当することになった1曲。耽美なダークファンタジーをドラマティックに、そしてヘビーかつラウドに彩るハードなエレクトロで加速するロックンロール。独特なアタックのあるボーカルが豪奢に響き、ホーンの音がヒリつく緊迫感を滲ませる本楽曲は、ダークでありながらゴージャス。眩いほどの才を存分に放つナンバーが色を添え、物語にさらなる躍動感を加えていた。今後、どんなアニメとのタッグでその音像の持つ色彩感豊かな世界を味わせてくれるのか、楽しみでならない。(えびさわ)
キミのね「レイドバックジャーニー」
アニメ『ゆるキャン△ SEASON3』OPテーマ
2期、3期と作られる人気作品は、主題歌も特定の歌手のイメージに固定されがちであり、新たに参入する歌手にとってはそれがある種のプレッシャーになってしまうものである。その観点で言えば、アニメ『ゆるキャン△』第3期で初めて本作の主題歌を担当したキミのねは、視聴者からの不安や心配を見事に吹き飛ばすことに成功したと言えるだろう。歴代の『ゆるキャン△』楽曲とは趣きの異なる曲調ながら、キャンプや旅のワクワク感、自由気ままさが表現されたサウンドや歌詞からは、作品の雰囲気がしっかり吸い上げられていることが伝わってきた。ボーカルのつむぎしゃちのキュートな歌声も聴いていて楽しく、今後も様々な作品を彩ってくれることを期待したい。(河瀬)
なとり「絶対零度」
アニメ「WIND BREAKER」OPテーマ
キタニタツヤとのコラボ曲「いらないもの」(アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』)も話題になった、なとりの初アニメタイアップ曲。ボカロ音楽に影響を受けてきた彼にとっての憧れの存在・じんを編曲/演奏に迎え、ループ感を強調したメロウな代表曲「Overdose」(2022年)とは全く異なるBPM200オーバーの超高速ロックを打ち出したことも新鮮だったし、何よりじん特有のささくれだったギターやゆーまお(ヒトリエ)の爆発的なドラムとのアンサンブルが生み出す初期衝動全開のロックサウンドが痛快すぎる。理屈よりも先に気持ちが突っ走っている感じは間違いなくアニメ『WIND BREAKER』のOPテーマらしくもあるし、折り目正しく作品に寄り添ったタイアップ曲が当たり前になった今の時代に、それを突き抜けて作品さえも牽引するような楽曲の強度が感じられるところに痺れた。(北野)
トゲナシトゲアリ「雑踏、僕らの街」
アニメ『ガールズバンドクライ』OP主題歌
自分が手掛けたアニメ主題歌以外では間違いなく、今年一番聴きまくった曲が「雑踏、僕らの街」です。そして、今年自分が最ものめり込んでしまったアニメも『ガールズバンドクライ』で、自分が主宰に名を連ねたトークイベントでも「なぜ『運命の華』は売れなかったのか」と、誰にも頼まれていないのに劇中におけるメジャーデビューの失敗について、トゲナシトゲアリのマネジメントとプロデュースを検証する等、ちょっとイタい領域までいってしまいました。しかし、改めて「雑踏、僕らの街」はすごい。少女たちの焦燥が奔流となって溢れ出すメロディと、一音一音で苛烈かつ流麗に衝動を描き切るバンドサウンドが素晴らしい。悔しいくらい名曲です。(冨田)
個人的推し楽曲
UVERworld「Eye’s Sentry」
アニメ『青の祓魔師 島根啓明結社篇』OPテーマ
『青の祓魔師 京都不浄王篇』から7年。奥村燐と奥村雪男、サタンの落胤である2人を取り巻く悪魔との戦いの日々を描く『青の祓魔師』の新たな物語が幕を開けた時、やはりそこにはUVERworldの歌があった。残酷な夜から始まった物語に響いた「CORE PRIDE」から、燐たちの隣にはUVERworldの、“世界を超える音”が、TAKUYA∞が紡ぐ言葉があった。真っ直ぐな言葉が燐と雪男の瞳の青い炎と、祓魔塾の面々の意思が宿る瞳と同じ熱を放つ。〈本当の僕を知らない奴に 何を言われても構わないけど/君を傷つける 全てを許さない〉ーー「ああ、燐たちが帰ってきた」。そう思わせてくれた1曲が、どうかこれからも彼らの想いを多くの人へと届けますように。(えびさわ)
TRUE「ReCoda」
アニメ『響け!ユーフォニアム3』OP主題歌
2015年放送の1期放送から、劇場版、スピンオフなど様々な展開を経て、今年完結編が放送された『響け!ユーフォニアム』。「TRUEといえば『響け!ユーフォニアム』」というイメージが世間に浸透しているくらい、彼女の歌手人生にとって欠かせない作品だが、それゆえに完結編の主題歌のハードルはこれまで以上に高くなっていたはず。そんな視聴者やファンの期待を遙かに凌駕したのが「ReCoda」だ。「この曲を聴いて泣かない人なんていないでしょ」と思わせるくらい、彼女が綴った言葉すべてが心と涙腺に刺さりまくる。特に2番サビの〈「でもね、私のサビはここからです。」〉は、歌詞単体でもエモいが、アニメを全話を観終えた後に聴くと感じ方も変わるはずだ。ちなみに筆者は、この曲を聴くとほぼ毎回泣いています。(河瀬)
Jin Dogg「NANI?」
アニメ『ケンガンアシュラ』Season2 Part.2 ED主題歌
あのJin Doggがアニメタイアップを担当すると知った時はぶったまげた。しかもゴリゴリのドリルビートにフリーキーなフロウを容赦なく叩きつけてくる、いつも通りのハードコアなスタイルである。本楽曲をSeason2のPart.2 ED主題歌に起用したアニメ『ケンガンアシュラ』は、Season1でもBAD HOPの楽曲「Born This Way (feat. YZERR, Vingo & Bark)」をエンディングテーマにしていたが、それと比べてもバイオレンス度が増しているのはアニメの展開に合わせてのことだろうし、山下一夫(CV:チョー)の魂の叫びが聞こえてくるようなエンディング映像にもばっちりハマっている。他にも2024年はCreepy Nutsを筆頭に、般若、MaRI、梅田サイファーらHIPHOP勢のアニソンシーンでの活躍が目立ったので、2025年以降もこの流れがさらに加速すると嬉しい。(北野)
前田佳織里「常識外れヒューマン」
アニメ『月が導く異世界道中 第二幕』第2クールEDテーマ
この曲の中毒性はヤバイ。ヤバいので何度も「虹色Passions!」で脳内洗浄を試みたが、イントロの「♪常識外れヒューマン あーい!(aye)」を思い出すと一瞬でフルコーラスが脳内再生されてしまう。しかし本来、声優の音楽活動はもっと常識外れでいいと思う。さらに言うと“声優らしさ”みたいな固定概念や、誰かの決めた“声優っぽい音楽”のような枠組みからはみ出した才能と出会うと、個人的にはゾクゾクする。ファンの間では前田が“声優らしさ”の枠外にいる、オモロすぎる声優であることは知られているかもしれないが、ついに自身が歌うシングルで高らかに宣言してくれた。常識にとらわれない価値観を力強く肯定する彼女の歌声が実に頼もしい。(冨田)
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/144143/2
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