SEVENTEENが『消費期限』で描くメッセージ K-POPの記録を覆した2024年最後に放つCARATへのラブレター
11月29日の愛知公演を皮切りに、4都市で10公演にわたって日本で行われるドームツアー『SEVENTEEN [RIGHT HERE] WORLD TOUR IN JAPAN』を開催中のSEVENTEEN。今年3月から5月には、2023年に行われたツアーのアンコールツアー『SEVENTEEN TOUR 'FOLLOW' AGAIN』にて、日産スタジアムとヤンマースタジアム長居を含む日本にて初のスタジアム公演を実現させたことや、6月にはK-POPアーティストとして初めてイギリスの野外音楽フェスティバル『Glastonbury Festival 2024』のメインステージへ立ったことなども記憶に新しい。
また、今年のリリース作品の勢いも止まらない。12thミニアルバム『SPILL THE FEELS』の販売数は発売初週で計316万611枚にのぼり、今年発売されたK-POPアルバムの中で最も多い初動販売枚数に。特に日本では、Billboard JAPANの2024年年間チャート「Hot Albums」で『SPILL THE FEELS』が5位、今年4月にリリースされたベストアルバム『17 IS RIGHT HERE』が3位を記録したほか、同チャートの『Top Albums Sales』では『17 IS RIGHT HERE』が2位、『SPILL THE FEELS』が4位、また2023年10月23日リリースの11thミニアルバム『SEVENTEENTH HEAVEN』が9位と続き、Billboard JAPANの全チャートにおいて上位10位内に最も多く入ったK-POPアーティストとなった。
そんな彼らの最新リリース作品となっているのが、11月27日にリリースされたJAPAN 4thシングル『消費期限』だ。10月7日より放送されたドラマ『未来の私にブッかまされる!?』(NHK総合)の主題歌に起用され、12月9日付の「オリコン週間シングルランキング」では海外アーティストとしての今年度最高初週売り上げで首位を獲得している。
タイトル曲「消費期限」は、ストリングスサウンドとギターサウンドが際立ち、感情の“消費期限”に悩む気持ちを表現した歌詞が叙情的なメロディに乗ったバラード曲に仕上がっている。徐々に高揚する感情とそのどうしようもなさをメンバーたちが高いボーカルスキルで表現しており、この王道バラードは“全員が歌える”グループだからこそ繰り出せるものだろう。
MVでは前回の日本オリジナル楽曲「今 -明日 世界が終わっても-」のMVの続編として“世界が滅びてからの物語”が描かれており、楽しかった日々を振り返るような映像からスタートする。そもそも、感情の“消費期限”を歌うことは聴く人に有限の未来を想像させるだろう。将来への不安はグループにとってもファンにとっても避けられないものだ。それをわかってなお「消費期限」を歌えるのは、2015年のデビューから共に歩んできたSEVENTEENとCARAT(ファンの呼称)の信頼関係ゆえだと感じる。
サビの最後、〈ここにいるよ/僕は 変わらない心で〉と繰り返すパートの後ろで歌われるコーラスは、そのままCARATがコンサートでSEVENTEENへ送る掛け声(応援方法)となっており、“ここにいる”という言葉を支えるようなコーラスをファンが任された構成となっているのも美しい。
また、本シングルには既発曲「Circles」「MAESTRO」がそれぞれ日本語バージョンとして収録されている。K-POPがこんなにも大きなムーブメントを起こし世間に浸透したといえる状況のなか、SEVENTEENが実際に日本でも記録を残している通り“日本人が韓国語の楽曲を聴く”ということがだいぶメジャーになってきた。それでもMVや音楽番組でのステージが用意され、アルバム収録曲で最も注目されるタイトル曲であった「MAESTRO」が、あらためて日本語での歌詞を作って披露されることに何度も驚いてしまう。
「Circles」は、ほとんどのSEVENTEEN楽曲で作詞作曲を手がけるメンバーのWOOZIが「この曲をメンバーに、(メンバーの)WONWOOに、自分自身に、そしてCARATに贈りたい」(※1)と語っていた楽曲でもある。それが「消費期限」「MAESTRO」とともに日本語で届けられた。メンバー間で交わされる愛の深さとともに、CARATへの思いも存分に感じられる作品となった。