REBECCAは僕にとって常に先を行くバンドだ 元『Player』編集長が綴る最新ツアー&新曲への感動
新段階に入ったのを感じさせる新曲の圧倒的クオリティ

これまでも断続的に新曲も発表し続けてきたREBECCAではあるが、7年振りの新曲『Daisy Chain / アシデケトバセ』は、そうして発表された楽曲と明らかに違うと感じた。「Daisy Chain」はNOKKOの作詞、土橋安騎夫の作曲という言わば黄金コンビの復活曲。『Dreams on 19900119 Reborn Edition-Return of Blond Saurus-』と地続きにあるようなグルーヴの進化劇が味わえて、土橋安騎夫によるメロディアスなシンセが印象的なポップナンバーだ。こういうREBECCAを待っていた! という人も多いのではないか。シンプルな8ビートのようでありながら、よくよく聴き込むとヒップな躍動感、トリップホップっぽさも織り交ぜた16ビートのグルーヴマジックはさすが。シンセベースと同期させた高橋教之のベースプレイも初期を彷彿させる要素となっている。
他方「アシデケトバセ」にはもっとびっくり! こんな風にライドシンバルによるドラムビートで始まる曲はこれまでになかった。作曲はNOKKOと土橋安騎夫の共作で、かつての「真夏の雨」なども彷彿させるようなバラードナンバー。〈魔物は気づいてる 人は誰でも少し壊れてる〉と歌う歌詞の世界がなんともミステリアスで面白い。NOKKOのソウルフルな歌いっぷりが終始圧巻であり、呼応するかのような是永巧一のドライヴトーンによるギターソロも聴きどころだ。
そして東京ガーデンシアターのラストで披露された「New World」は、「WHITE SUNDAY」をクリスマスソングと称さないならばレベッカ初のクリスマスソング。ベルを彷彿させるキラキラシンセによる王道アレンジで、高橋教之のベースが終始リードするバンドアンサンブルがたまらない。小田原豊による16ビート·ハイハット主体のダンサブルなドラムも聴きどころである。ハンドクラップやオーケストラヒットも入れたアレンジもまさに“NOSTALGIC NEW WORLD”だが、土橋安騎夫の音選びは今のテイストであり新しいREBECCAのバンドサウンドなのが素晴らしい。いろんな意味での“NEW WORLD”を秘めたNOKKOのロマンティックな歌詞も秀逸である。
どの新曲もさすがREBECCA! という作り込みっぷりでありつつも、難産の果てに生まれた楽曲というよりは、もう少し軽やかな空気感、みずみずしさを感じるのもコアファンとしては嬉しい点。それでいて1990年の日本武道館からのミッシングリンクを埋めてくれるようなロックチューンだったのに驚いたのである。何よりメンバー個々がとてもニュートラルなモードで、REBECCAの“NOSTALGIC NEW WORLD”を楽しんでいる様子が伝わってくるのが嬉しい。僕らはあの頃からすでに繋がっていたのだと気づかせてくれる「Daisy Chain」の歌詞の世界も素敵だったし、〈おしゃれ狐〉や〈灰色オオカミ〉と共にREBECCAの新たな世界が堪能できるのだからこんな嬉しいことはない!
CDではディスク2で『NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024』が追体験できる。「SMILE(warm up ver.)」(※ちなみにアナウンスを担うはREBECCAフリークとして著名なタブレット純!)をSEに先ず繰り広げられるのは「Hot Spice」。小田原豊のドラムと中島オバヲのコンガ、是永巧一のエレクトリックギター、土橋安騎夫の遊び心あふれるシンセサイザーに、高橋教之のベースリフが有機的に絡み、冒頭からこれぞREBECCAというノリが味わえるのだ。収録されたのはツアー中盤、REBECCAの地元と云える8月17、18日の大宮ソニックシティ公演であり、絶好調のバンドアンサンブルで、各自が楽しんでプレイしている姿が浮かんでくる。
「LONELY BUTTERFLY」は原曲より大らかでスケール感のあるノリに思える演奏で、随所で堪能できる小田原豊の流しタムフィルも魅力的だ。土橋安騎夫のシンセソロを導入部とする「CHEAP HIPPIES」は、原曲よりも是永巧一のギターをクローズアップしたプレイ。NOKKOのボーカルフェイクたっぷりの歌いっぷり、終盤における是永巧一のワウペダルを絡めたギターソロも大きな聴きどころ。なお僕が観た仙台公演ではこの部分でNOKKOが客席に飛び込むサプライズがあった……。是永巧一のディレイギターリフに胸が躍る「Raspberry Dream」もNOKKOが自由に歌いまくる様が圧巻であり、こんな風に歌えるシンガーはやはりNOKKOしかいない! という想いを再認識するし、実際に随所におけるオーディエンスの反応を聴いてもみんな同じ気持ちなのだろうと感じる。そしてやはり中島オバヲのコンガプレイの高揚感もたまらない。今回のツアーでは「Maybe Tomorrow」が前半の締めとなっていたのも特色だった。数々の名演を生んできた代表曲だが、ひたすらNOKKOの歌を際立たせた引き算のプレイと是永巧一のギターソロ、そして感動的な小田原豊、中島オバヲのタムタムドラミングの余韻に至るまでを収めている。
さらには12月11日、オリジナルターンテーブルマット付となる完全生産限定アナログレコードで、『NOSTALGIC NEW WORLD』のリリースも決定。本作は新曲を筆頭とする新たなレコーディング音源のみで構成されている。これを書いている段階では未聴だが、「New World」に関しては「New World Twice ver.」と題されており、アナログレコードのみの収録とのこと。新曲のレコーディングでは、久々にスタジオで顔を合わせてセッションしながら作ったことが、さらなるバンドマジックに寄与したそうだが、ここにきてREBECCAがバンドとして新段階に入った手応えを感じたのは僕だけであろうか。

前述のように“NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024”は、『Dreams on 19900119 Reborn Edition-Return of Blond Saurus-』と直結したかのように感じたのが僕の感想だが、ここにきて『Dreams on 19900119 Reborn Edition-Return of Blond Saurus-』のライブフィルムが、1月19日に全国10カ所の映画館で一夜限りの復活上映されることが発表された。1月19日というのはまさに解散前ラストとなった日本武道館公演が行なわれた日であり、35年の時を超えてスクリーンであの勇姿が蘇る。さらにこのライブフィルムより、解散前ラストシングルであった「LITTLE ROCK」がYouTubeで公開された! NOKKOの“目隠しパフォーマンス”でも名演と語り継がれている楽曲である。「おいおい、目隠ししてあんなに踊りまくって歌って怖くないのか……!?」と不思議に思ったものだ。ハイテンションでラストのフェイクやシャウトまで含めて素晴らしいボーカルである。是永巧一のギターソロもまた素晴らしい。大スクリーンの大迫力で追体験することをオススメしたい。チケット先行予約は12月18日まで先行受付中だ。
東京ガーデンシアター公演では「もっとツアーやりたかった!」とNOKKOが口にしていたのも嬉しかったが、『NOSTALGIC NEW WORLD』はいわゆる40周年作品というより、最新形REBECCAの新譜っていう紹介の方がなんかぴったりな気がするし、僕にとってやはりREBECCAとは常に先を行くバンドなのである。

■リリース情報
完全生産限定盤アナログレコード『NOSTALGIC NEW WORLD』
2024年12月11日(水)発売
品番:MHJL-375
仕様・価格:LP1枚33RPM ¥6,650(込)
オリジナルターンテーブルマット付
<収録楽曲>
SIDE-A
・SMILE warm up ver.
作詞:NOKKO 作曲:土橋安騎夫
・アシデケトバセ
作詞:NOKKO 作曲:NOKKO・土橋安騎夫 編曲:REBECCA
・Cotton Time interlude ver.
作詞:NOKKO作曲:土橋安騎夫
・Daisy Chain
作詞:NOKKO 作曲:土橋安騎夫 編曲:REBECCA
SIDE-B
・Little Darling interlude ver.
作詞:NOKKO 作曲:土橋安騎夫
・New World twice ver.
作詞:NOKKO 作曲:NOKKO・土橋安騎夫 編曲:REBECCA

■上映情報
REBECCAライヴ・フィルム『Dreams on 19900119 Reborn Edition-Return of Blond Saurus-』(劇場版5.1chリマスター) 35周年記念日上映
【2024年/日本/DCP/16:9/2ch/115分】
日時:2025年1月19日(日)
開映:17:30
前売券|3,000円(税込/全席指定)※ 109シネマズプレミアム新宿以外
当日券|4,000円(税込/全席指定)※ 109シネマズプレミアム新宿以外
109シネマズプレミアム新宿のみ、以下の料金が別途必要となります
CLASS A 上記料金プラス2,600円(税込/全席指定)
CLASS S 上記料金プラス4,600円(税込/全席指定)
※上記チケット料金にはウェルカムコンセッション含むその他サービス料金が含まれています。
・ローソンチケット|https://l-tike.com/rebecca-movie0119/ (PC・モバイル共通)
・REBECCA特設サイト| https://110107.com/rebecca_90movie























