Nulbarich、なぜ活動休止を決断? 休止前最後の武道館公演に寄せる想い

Nulbarich、活動休止の理由を語る

無期限活動休止の真意とは?

ーーライブが以前のように出来るようになり、ここからまた活動ペースが上がるのかと思っていましたが、今年2月に「2024年末をもって無期限活動休止」を発表。率直にお聞きしますが、理由は何だったんですか?

JQ:要因はいっぱいあるんですよね。まずは最初に言った“みんなで集まれる場所”ということとそれを長く続けるためにはどうすればいいだろう? ということが大前提であって。60歳くらいまでは続けたいと思っているなかで、(漫画の)「ONE PIECE」みたいな言い方になっちゃいますけど、コロナの時期に“空白の2年間”みたいな時期があったわけじゃないですか。ライブができなくなって、Nulbarichのスケジュールがなくなるなかで、その時間を埋める生活をしていたんですよね、それぞれが。そこに新しい常識みたいなものが生まれてきてーーメンバー然り、スタッフ然り、僕然りーー集まりづらい環境になってしまって、以前とは違う流れになってるんですよ。「全員、見てるところが違う」という感じもあって。そういうことはよくあると思うんですよ。たとえば地元の友達とかも、昔は毎日のように会ってたのに、就職して月に1回になって、誰かが結婚して半年に1回になったり。

ーー確かにありますね、そういうことは。

JQ:無理矢理集まろうとすると空中分解しちゃう気がするし、もちろんそれを望んでいるわけではなくて。それぞれのペースに合わせて、集まれる場所を持ち続けることが大事なんですよ。その意識をもう1回揃えて、Nulbarichの在り方を自分のなかで考え直すためにも、ここでいったんしゃがんでおこうかと。

ーー将来に渡ってバンドを継続するために、1回止めたほうがいい。

JQ:そう、だから全然ネガティブなことではないんです。ただ、Nulbarichってみんなのスケジュールが合わないと動けないんですよ。いろんなところから(ライブや楽曲の)お話をいただいても、その愛情を受け取って返す環境が上手く作れない。本来ならパッと動けるんだけど、僕らはそうではないので。かと言って、僕一人でステージに上がることもできないじゃないですか。「Nulbarichです!」って僕だけ出て行っても、「バンドじゃないんかい」って怒られるんで。

ーー怒られないと思いますが(笑)、JQさん一人でやるのは違うということですね。

JQ:それをやるとバンドじゃなくなっちゃうんで。なので、別に何も悪くないんですよ。強いて言えば「コロナのせいにしとこうか」というくらいで。僕もコロナのなかで、かなり感覚が変わったんですよ。ずっと家にいたから、部屋のなかで聴くような曲しか作れなくなって。「これってNulbarichじゃないんだよな」と思ったときに、Nulbarichの自分とは違う、パーソナルな自分が存在しているんだなと気づいたんですよね。そういうことはみんなにも起きたと思うし、ライブやリリースのペースも落ちて。……別に活動休止って言わなくてもよかったんだけど、そこは僕がビビッたのかもしれないです。活動のペースが落ちて、みんなに忘れられてしまう前に、「休みます」と言ったほうがいいかなと。いつの間にか連絡が取れなくなるより、「しばらく休みます」と言ったほうが、待ってる側も待ちやすいじゃないですか。

ーーちょっと安心感があるかも。

JQ:そうですよね。何も言わないのはちょっと不親切かなと思って、「ちょっとだけしゃがみますね」と言ったら、いつの間にか大事になっていて。デビュー当時の展開を思い出しました(笑)。

ーー12月5日の武道館公演には、どんなスタンスで臨もうと思っていますか?

JQ:「活動休止前のラストライブ」と謳ったことで、自分もどんどんそういう気持ちになっていて。誰にも気を遣わず、シンプルなライブをやりたいと思ってますね。バンドを終わらせるためにやるわけではないし、いいライブであればあるほど、長く待ってもらえるんじゃないかなと。ただただ感謝を伝えるライブをやってしまうと、1年後くらいに見返したときに「なんだこれ?」ってなると思うんですよ。そうじゃなくて、とにかく色褪せないライブをやりたいし、音を楽しむ、音楽という言葉通りのショーをやろうと。その波動は勝手にお客さんにも伝わるだろうし、エネルギーの循環につながるはずで。まあ、ステージの上でエモくなれば何か言っちゃうかもしれないけど(笑)、武道館に挑むモチベーションとしては、「いいライブをやる」ということだけですね。あと、歴代のメンバーが全員揃うんですよ。ドラム2人、鍵盤2人、ベース3人、ギター4人、マニピュレーターが1人、ボーカルが1人で13人。活動前最後のライブで、奇跡的に“最後の晩餐”と人数が揃いました(笑)。

ーー“みんなで集まれる場所”というもともとの動機が実現するわけですね。

JQ:そうなんですよ。

ーーオーディエンスに対してはどんな思いがありますか?

JQ:たぶんお客さんも、コロナの間はライブに行ってた時間を他の何かに費やしていたと思うんです。ライブが出来るようになって、こちらの勝手で「武道館でライブをやるよ」と言っても「いや、ちょっと」という人もいるはずだし、それでいいと思うんですよね。初期の頃から「またいつでも戻っておいで」って言ってたんですよ。自分たちは何十年もやり続けるつもりだし、来られるときに来てほしいっていう。転勤になったり、子供ができたり、いろいろあるじゃないですか。都合が合わないと集まれないし、そのためにも僕らはやり続けなくちゃいけない。そのためにいったんしゃがむっていう……まあ、僕たちの勝手ではあるんですけどね。

ーー武道館ライブはWOWOWで生中継されるので、会場に来られない方も観られます。

JQ:うれしいです。生のライブと映像ではテンションが違うので、濃いめのお酒を飲んでから観てもらうくらいがちょうどいいかな(笑)。何て言うか、初めてライブを観たときの衝撃だったり、「かっこよ!」という感覚をみんなに残したいんですよね。そうすれば「また見たい」と思ってくれるだろうし。……こうやって冷静に喋ってますけど、本当はやめたくないんですよ。休止もしたくないし、心のなかでは「やだやだやだ」ってダダこねてる感じなので(笑)。でも、休止しないと乗り越えられないと思ってるんですよね。怖さもあるけど、ここは心を鬼にして、休止するしかないなという感じです。

■番組情報
4カ月連続!Nulbarich WOWOW special
生中継!Nulbarich 『CLOSE A CHAPTER』 at NIPPON BUDOKAN 2024.12.05
12/5(木)午後6:30 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信

Nulbarich -The Party is Over- at NIPPON BUDOKAN 2018.11.02 WOWOW edit ver.
1/2(木)午後2:00 WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信

Nulbarich Music Video Collection
1/2(木)午後3:30  WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信

Nulbarich 『CLOSE A CHAPTER』 at NIPPON BUDOKAN 2024.12.05 WOWOW edit ver.
2025年2月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信

Nulbarich -A STORY- at SAITAMA SUPER ARENA 2019.12.01 WOWOW edit ver.
2025年3月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信

詳細はこちら:https://www.wowow.co.jp/music/nulbarich/

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