にしなは一人ひとりに向き合い光を照らす ツアー『SUPER COMPLEX』で伝えたかったこと、そのすべて

にしな、ツアー『SUPER COMPLEX』レポ

 にしながマラカスを振ったりドラム台に乗って飛び跳ねたり、自由奔放にパフォーマンスが繰り広げられた「東京マーブル」に続いて演奏されたのは、「クランベリージャムをかけて」。提げたトリケラトプスのぬいぐるみバッグから取り出したキャンディをフロアにばら撒くにしな。「シュガースポット」では、バナナまみれのポップな映像とともに「シュガー」の大合唱が鳴り渡る。どんどん温度を高めていくフロアに呼応するように、にしなのパフォーマンスも曲を追うごとにボルテージを高めていった。そして、あっという間に本編最後の曲へ。「新しい曲書いてきたので、最後にやっていいですか?」という言葉ともに届けられたのは、リリース前の新曲「わをん」だった。「愛とは何か」という大きなテーマを紐解いていくようなこの曲が、じんわりと場内に広がっていく。サビの美しいハイトーンは、まるで讃美歌のようでもある。それぞれのなかにある孤独やコンプレックスを持ち寄り、”愛”という大事なものに昇華していくようなその響きは、ライブのハイライトとしてオーディエンスの心にもしっかり届いたに違いない。

Photo by Tatsuki Nakata

 その後のアンコールでは「ダーリン」を丁寧に歌い上げると、フレンドリーなMCを経て「ねこぜ」を披露。スクリーンに映し出されるアニメーションも相まって、愛らしい主人公の日常がほっこりと心をあたためていく。軽やかな手拍子と「ほっとけー!」の声でZepp DiverCityをひとつにすると、ラストは「アイニコイ」。この曲だけはオーディエンスによる撮影もOKということで、フロアにたくさんのスマートフォンが掲げられる。ストレートなバンドサウンドで最後の盛り上がりを作り上げると、にしなは「ありがとう!」と嬉しそうに声を上げた。

 終わってみれば、あとに残ったのはとてもハッピーで愛に溢れた時間と空間。にしなはきっと音楽でこういうものを作り続けていきたいんだろうな、とあらためて思わされるようなライブだった。

Photo by Tatsuki Nakata

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