imaseのすべてを見せた今の最高地点 『Shiki-Sai』ツアーで見せた進化の過程とファンとの繋がり
真っ白なステージ、天井から吊られた四角いパネル……白で統一されたシンプルなステージをキャンパスのようにして、imaseの紡ぎ出すポップミュージックがカラフルな色を塗り重ねていく――彼にとって初めてのホールツアーとなった『imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”』は、そのタイトルのとおり、imaseというアーティストの放つポップな魅力を楽曲を通して伝えきる、現時点での「imaseのすべて」と言える内容となった。ヒットチューンとなった「NIGHT DANCER」からコラボ曲のimaseバージョンまで、多彩なサウンドが届けられた東京公演2日目、11月14日LINE CUBE SHIBUYAの模様をレポートする。
SEが鳴り響き、ステージ中央の階段からimaseが登場すると、客席から歓声が湧き起こる。上下白の衣装にはカラフルなペイントが施され、このライブのコンセプトを体現しているかのようだ。そして歌い始めたのは「ピリオド」。アッパーでドラマティックなサウンドに気持ちよさそうに体を揺らしながらファルセットを響かせるimaseの姿に、オーディエンスからは力強い手拍子が送られる。そのまま早くも「NIGHT DANCER」を投下すれば、場内の温度はさらに上昇。ファンキーなベースラインにのせて「踊ろうぜ、東京!」とimaseが声を上げるとともに、それまで低い位置まで下がっていたパネルが上がり、バンドマスターの松本ジュン(Key)をはじめ、モリシー(Gt/Awesome City Club)、林あぐり(Ba)、BOBO(Dr)からなるバンドが姿を見せた。
飛び交うレーザーライトがライブのボルテージをさらに高め、imaseのアクションもどんどん大きく、パワフルになっていくなか、続いて「LIT」がライブならではの迫力でぶちかまされた。ずっしりと重いドラムとギターリフがホールを揺らし、「楽しんでいこうぜ!」と叫ぶimaseの声にも熱がこもる。手を広げてオーディエンスを「まだまだいけるよな!」と煽り、モリシーのギターソロも全力で盛り立てる。ラストで両手を大きく広げて喝采を浴びる様子は、さながらロックスターだ。
「こんばんは、imaseです。楽しみにしていましたか?」。1階席から3階席まで満遍なく声をかけるimase。そのハイテンションな問いかけにオーディエンスが歓声で応えると、「みなさんに色とりどりの音楽を届けていきたいと思うので、自由に楽しんでまいりましょう!」とさらに期待を煽り、「蜃気楼」へ。imaseはスタンドマイクで手振りを織り交ぜながら、歌を届けていく。さらにゆったりしたグルーヴがロマンティックに広がる「ミッドナイトガール」へ。オープニングの前のめりなモードから少しギアをチェンジして魅せる展開に、オーディエンスも心地好さそうに身を委ねていった。そこから一転、「Rainy Driver」ではアッパーなリズムが響き渡る。映し出される映像も色鮮やかで、一気に景色が変わっていく感じがとても劇的だ。続く「Nagisa」ではimaseの振る手に合わせて客席でも手が揺れ、「ジャンプ! ジャンプ!」という声に合わせてジャンプの波がホール中に広がった。
「素敵な時間をありがとうございます! 楽しい!」というimaseに、またしても大きな歓声が浴びせられる。そんな、全員が自由に楽しんでいるムードをimaseは「あったかぽかぽか空間」と表現するが、まさにそんな感じの和やかでファミリアな空気がLINE CUBE SHIBUYAを覆っている。今回のツアーを「色と音楽を掛け合わせたコンセプト」と説明すると、ここでライブはアコースティックコーナーに入っていく。オーディエンスを席に座らせ、imaseも階段に腰掛ける。BOBOと林がいったんステージから去り、松本、モリシー、そしてimaseの3人で取り留めもない会話をしながら入っていくのは「逃避行」。スクリーンに雲が映し出されるなか、モリシーの爪弾くアコースティックギターと松本の演奏する鍵盤ハーモニカによるオーガニックな音に、imaseの優しいハイトーンや口笛が重なり、穏やかななかに切なさもちょっと感じさせるようなエモーショナルなサウンドが紡ぎ出されていく。