石井竜也、レア曲満載のツアーファイナル 米米CLUBとは異なる“ROCK一色”のエンターテインメントに

石井竜也『STONE ROCK’S GIG』レポート

 さらに石井のソロの代表曲である「RIVER」を披露する際には、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』のエンディングテーマとして、海外を中心に再注目を集めていることに触れ、「何語かわからないけれど、“最高の曲だ”とかネットで書かれていると、勝手に解釈している」と、笑いを交えてコメント。また同曲を作った時、何を表現するべきかという壁にぶち当たっていたというエピソードを話し、「人のことは言えるけど自分のことはわからない。これって人間の真理だね」とコメントし、「RIVER」にはその時の自分が映し出されていることも話した。ミディアムバラードの同曲に、吐露するように飾らない気持ちを重ねた石井。観客は静かに、それに聴き入った。

 このライブでは、石井竜也、Char、有賀啓雄によるユニット ACRIとして1996年に発表した「WIND BLOWS」も披露された他、本編のラストにはCharと石井の覆面ユニット P・SMOKEとして制作した1991年の楽曲「What Are You Up To Next」も披露された。12月のアルバムには、Charの息子であるJESSE(RIZE/The BONEZ)をフィーチャリングして再録しており、親子二代に渡る共演が実にアツい。英語をメインにした歌詞と、The Power Stationのようなソウル/ファンクとロックが融合したサウンドが秀逸な同曲。石井は野良犬が吠えるようにシャウトし、オーディエンスもそれに大歓声を送った。

 アンコールではニューアルバムに収録される新曲のバラード「BROKEN TOYS」を披露。同曲を作った経緯として、いまだ戦争が終わらない世界情勢に触れ、夢と希望を持った若者が戦場に送られて犠牲になっていると話し、「まるでおもちゃの駒みたいに扱われている。そんな戦士たちに向けて作りました」とコメント。石井のメッセージに、真っ直ぐなまなざしで耳を傾けた観客。包容力のある歌声としっとりとしたサウンドが、まるでレクイエムのように会場に響き渡った。

 そして、この日はファイナルということで、ガチャピンとムックがサプライズ登場して、石井自身をも驚かせた。石井は米米CLUB時代から『ポンキッキーズ』(フジテレビ系)に楽曲提供を行っており、2022年に米米CLUBが結成40周年を迎え、その翌年にガチャピン・ムックも誕生50周年を迎えたというご縁から、花束を渡し「ツアーファイナルお疲れさまでした」とツアー完走を労ったガチャピンとムック。最後に『ポンキッキーズ』プロデュースイベント『P-kiesワンダーランド』テーマ曲として提供した「花まつり」を会場全体で大合唱。無茶振りに戸惑いながら、でも嬉しそうに歌う様子が印象的だった石井。歌い終えてもなかなか帰らないガチャピンとムックに「いつまでいるの?」と、石井流でツッコミが入る場面も。2人とハグをして、9月から続いたツアーを締め括った。

 今回のツアーの模様は、12月25日にリリースされるアルバム『STONE ROCK’S』完全生産限定盤のDISC3に映像として収録されるとのこと。また12月にはクリスマスディナーショー『ROMANTIC CHRISTMAS EVE. TATUYA ISHII SEXY VOICE SHOW TIME 2024』を各地で開催する他、来年2月には恒例の『石井竜也オーケストラコンサート2025「EARTH MIND」』を開催する。40周年を迎える来年の10月まで、今後どんなトリックスターぶりを発揮してくれるのか。石井竜也のエンターテインメントはまだまだ続く。

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