King Gnu×SixTONES、Vaundy×Number_i、緑黄色社会×King & Prince……男性アイドル/グループへの楽曲提供が生む化学反応

 Vaundyは9月にリリースされたNumber_iの1stフルアルバム『No.Ⅰ』に、平野紫耀ソロ楽曲として「透明になりたい」を提供している。Vaundyはさまざまなタイプの楽曲を歌うアーティストだが、「透明になりたい」では鍵盤を軸にしたサウンドと淡々と展開されていくビートが印象的だ。Vaundy自身の楽曲であれば、「タイムパラドックス」とも近い雰囲気も感じられるだろう。「透明になりたい」を聴くと、Vaundyが歌っている姿が容易に想像できるのだ。その理由は、淡々としたリズムのなかにキメを作り出し、渦のようにグルーヴを生み出すこの楽曲と、Number_iというアーティストの個性がクロスオーバーするからなのだと思う。Number_iのパフォーマンスは秀逸だ。彼らは歌もラップも高いレベルでこなすダンスボーカルグループでありながら、特定のジャンルにとどまらず、妥協せずに“いろいろな場所”に行くアーティストだ。そんなNumber_iの個性と、幅広い作風を持つVaundyのソングライティングのセンスがひとつの軸で繋がったのではないか? そう考えたくなるような聴き心地の楽曲だ。

Number_i「透明になりたい」

 I Don't Like Mondays.は、Snow Manに楽曲提供をしている。今年2月リリースの10thシングルの表題曲のひとつである「LOVE TRIGGER」は、アレンジも含めてI Don't Like Mondays.が手掛けており、彼ららしい洒脱なサウンドと軽快なリズムが特徴的なナンバーになっている。一方、その楽曲を歌いこなすSnow Manはアイドルらしいある種の溌剌感を持ち合わせつつも、情感豊かにこの楽曲のメロディを歌いこなしている姿が印象的だった。振り返ってみると、「LOVE TRIGGER」はI Don't Like Mondays.らしさを感じられると同時に、Snow Manらしさも際立つ仕上がりになっていることに気づかされたのだった。

Snow Man「LOVE TRIGGER」MV

 このように、J-POP/J-ROCKアーティストが“男性アイドル”に楽曲を提供するケースが増えている。それは、ただ単に「提供という事象が増えている」というわけではなく、提供したアーティストが作家性や個性を発揮しつつ、結果的に提供先のアーティストの個性を引き出しているケースが特に多いのだと感じた。提供する側とされる側の相性が良いからこそ、互いの個性が際立ち、独自のケミストリーを生み出し、新たな境地へと楽曲を昇華させている。これからも、提供する側とされる側の化学反応、そしてその楽曲がどのような輝きを放つのか、引き続き注目をしていきたい。

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