Suchmosに集約される“進化したクリエイティビティ” 沈黙破るまでの修業期間で培ったもの
10月7日、大ニュースが飛び込んできた。Suchmosが3年半ぶりに活動を再開することになったのだ。2015年の1stアルバム『THE BAY』のリリースから瞬く間にシーンを駆け上がり、2018年に『第69回NHK紅白歌合戦』に出場、2019年には横浜スタジアムでのライブを成功させるなど一時代を代表するロックバンドとなったSuchmosだが、“修業の期間を迎えるため”という理由で2021年2月から活動休止中だった。2025年6月に横浜アリーナでの復活ライブが予定されており、これは彼らにとって5年半ぶりの有観客ライブとなる。
Suchmosとしてのブランクは長いが、メンバーそれぞれ“修業”の名の下にクリエイティブな活動やプレイヤ―としての腕磨きを絶えず続けており、そのスキルアップの先に今回の活動再開がある。本稿ではSuchmos活動再開を祝し、この3年半、メンバーが行ってきた活動について紹介していきたい。
YONCE(Vo)は、2021年にOriginal Loveのオフィシャルカバーアルバム『What a Wonderful World with Original Love? 』へ参加、2022年にRyohuとのコラボ曲「One Way feat. YONCE」リリース、2023年に松任谷由実のコラボベストアルバム『ユーミン乾杯!!』とThe Street Slidersのトリビュート盤(『On The Street Again -Tribute & Origin-』収録)への参加など積極的に活動。その中でも特に話題になったのは2022年、Mirage Collective「Mirage」への参加だ。ドラマ『エルピスー希望、あるいは災いー』の主題歌であり、STUTSがプロデュースを手掛けた楽曲だが、これは当初ボーカリストが誰であるか明かされておらず、情報解禁時は大きな話題を呼んだ。どの活動もやはり彼の歌声が放つ圧倒的なエネルギーと色気が存分に活かされている。
また、2023年には新バンド・Hedigan’sを結成、今年にはOLD JOEで5年ぶりのワンマンライブを行うなど、バンドでも精力的に活動中だ。特にHedigan’sはSuchmosが活動休止前に追求していたブルージーでサイケデリックなサウンドに加え、激しいロックンロールも志向しており、今後Suchmosとどのように棲み分けられていくかも興味深い。
TAIKING(Gt)は藤井 風、RADWIMPS、iriといった錚々たる顔ぶれのアーティストのライブにサポートミュージシャンとして参加。各地でそのプレイを響かせつつ、2021年8月からはソロプロジェクトも始動。自らボーカルを務めた軽やかで爽快なサウンドの楽曲たちをコンスタントにリリースしてきた。コラボレーションも活発で、土屋太鳳などと異色の共演も行っている。
8月にリリースした「Footprint」ではYONCEをフィーチャリングボーカルに迎え、実に3年ぶりの共作が実現。ダンサンブルなトラックにYONCEのソウルフルな歌唱が映える、活動休止前のSuchmosにはなかったタイプの軽妙さを持つ楽曲だ。このような共作が再開後のSuchmosにどのような影響をもたらすか、楽しみでならない。