DEATH SIDE・ISHIYA、5年ぶりアメリカでのパンクフェス体験記 Conflict、MDC、Dropdeadら素晴らしいステージも

 フェスのメインである最終日は、ロサンゼルス中心街にあるThe Belascoという大会場で行われた。出演者は裏口でパスポートと荷物の中身を見せ金属探知機を通るという、空港かと思うほどの厳重なセキュリティだ。

 建物の中はまるでオペラハウスのような非常に豪華で古い作りなのだが、地下と最上階を合わせ3つのステージがある。2階から4階まである客席には椅子があり、1階部分と地下、最上階のステージは、立ち見のフリースペースになっている。2000人はやってくる規模のライブで、チケットはソールドアウトだ。

 そしてこの会場は、IPAが1缶チップ込みで21ドルオーバー。ウイスキーのショットでも同じ値段で、カードしか対応していないために、気付かぬうちに平気で100ドル、日本円で14000円以上は使ってしまうような、とんでもない値段だった。

 この日のメインはDetestationというオレゴン州ポートランドのバンドで、この日のための再結成だ。メンバーにも友人が多く、ここまで人が集まるフェスのメインを飾るほど、再結成を楽しみにしている人間が多い。幸いDEATH SIDEもメインステージでの演奏なのだが、ConflictやThe Varukers、Antisectは上の階のステージで、Mob 47は地下ステージだ。そんなレジェンド達を差し置いて、メインステージで演奏できるという光栄に応えなくてはならない。

 友人のバンド・Hellshockや、セルビアのフェスで一緒だったRixeとも会えたが、観たいバンドが被ってしまうのが大規模フェスの残念なところではある。極力観たいバンドを観て、自分の演奏までのテンションを上げる。

Rixe

 そしていよいよ、今回ロサンゼルスに来た一番の目的である、メインショーのステージが始まった。

 多少MCをやりすぎたかもしれないが、それでも伝えたいことを伝えられたと思う。しかしライブ後にメンバーと話してみて、矢継ぎ早に曲が始まるライブ構成も今後は考えていこうと、新たな方向も見えた良いライブができたのではないだろうか。

DEATH SIDE

 今回の5年ぶりのアメリカは、短期間の滞在だった。宿泊場所や移動などが恵まれているために正直楽ではあるが、様々な街の雰囲気や風景、観客の違いなどのツアーの醍醐味が味わえるものではない。アメリカ全土や海外からもやってくるので、懐かしい友人やバンドには会えるのだが、連続してライブを行うツアーとはひと味もふた味も違う感覚だ。

 しかし、コロナ禍で会えなかった世界中にいる多くの友人と出会うことができただけでも素晴らしいひとときであり、日本のハードコアパンクバンドとして恥ずかしくないライブをやってきたつもりだ。

 これからも、世界中へ日本のハードコアパンクを伝えていきたいと心から願っている。その機会を与えてくれた、オーガナイザーのナチョ、物販の制作を統括してくれたローマン、空港からホテル、ライブなどの送迎をしてくれたアライン。そしてフェスにきてくれた多くの観客と、バンドの全てに感謝します。本当にありがとう。

 またどこかの国で会おう!

DEATH SIDE・ISHIYAのオーストリア/セルビアツアー記 肌で感じた、東欧パンクスたちの熱気

筆者自らがボーカルをつとめるバンドDEATH SIDEで、 2022年11月23日から28日まで、オーストリアのウィーンとセルビ…

FORWARD ISHIYAのアメリカツアー体験記 現地のパンクシーンから学んだ伝え続けることの重要性

筆者のバンド・FORWARDが、2018年の10月31日から11月24日まで、5度目となるアメリカツアー『BURNING SPI…

関連記事