KOMOREBI「Giri Giri」ヒットはスチャダラパーとのリミックスまで波及 コラボ経緯やグループの成長を聞く
今年5月に4thシングル「Giri Giri」をリリースしたところ、メンバーがサビのフレーズを楽しく踊る“ギリハピダンス”が海外にまで拡散。TikTokの総再生回数が24億回を突破するほどの大きなバズを生み出したKOMOREBIが、スチャダラパーを迎えて「Giri Giri Remix feat. スチャダラパー」を完成させた。新進グループのKOMOREBIが、来年デビュー35周年を迎える大先輩のスチャダラパーとどんな経緯で繋がったのか。KOMOREBIの名前を一気に広めた「Giri Giri」のヒットを振り返りつつ、キャリア初となる全国クラブツアーの思い出や、今回のRemix制作秘話など、5人にワイワイと語ってもらった。なお、インタビュー最後にはスチャダラパーからのコメントも掲載している。(猪又孝)
聖地も誕生!? 想像超えた広がりが生まれた「Giri Giri」ヒット
――「Giri Giri」のバイラルヒットおめでとうございます。そもそも、この曲はどんな流れで作られたんですか?
SAM:スタジオに入ってメンバー全員でフリースタイルをしていたときに、僕が「ギリギリ毎日を」っていうフレーズを思いついたんです。そしたらみんなが「そのワードいいね」となって。周りにギリギリな環境に置かれている友達が多くて自分たちもそうだったから、少しでも明るくなれるよう一緒に頑張ろうぜってエールを送りたかったんです。
――ギリギリな環境というのは?
MATHEUS:スケジュールはギチギチなのに金がねぇっていう。
SAM:曲を作ったときのリアルな状況なんです。自分たちの世代は大学を卒業して新生活が始まった時期で、まだ社会に慣れない環境でもあったから。
MATHEUS:俺は1つ上だから違うんですけど、SAM、MAXI、OTA、YUTAの4人はその世代なんですよ。
――〈ギリhappy〉というワードは誰が出したんですか?
MATHEUS:もともと「ギリギリ毎日を」っていうフレーズをずっと繰り返す感じにしていたら、PESさんが「それだとリアルすぎる。救いがない」と。じゃあ、ギリギリハッピーにしようって俺がアイデアを出したんです。そこから生まれたワード。
――PESさんは今回の楽曲にどんな形で絡んでいるんですか?
YUTA:僕らをガイドしてくれてる感じです。
――プロデューサーとかアドバイザーのような立ち位置?
MATHEUS:そう。俺らに道筋をつけてくれるというか。アーティストとしての見え方をプロデュースしてくれる形ですね。
YUTA:1stシングル(「HOT CAKE MIX」)、2ndシングル(「DITA NIGHT」)、3rdシングル(「LOVE ME KILL ME」)もPESさんが関わってくれています。
MATHEUS:親のように隣で見てくれています(笑)。
――「Giri Giri」のトラックはRYUJAさんが制作しています。最初のフリースタイルの段階からRYUJAさんのビートで作っていったんですか?
SAM:そうです。スタジオに入ったときに初めてビートを聴いたんですけど、一発でこれがいいねって。
――今回はどんな方向のサウンドを目指したんですか?
MAXI:僕たちはグループを結成した初期段階から、Brockhamptonの雰囲気とか音楽性を参考にしていて、いくつかリファレンスをスタッフさんに送っていたんです。じゃあ、今回、それをやってみようということになって、ようやく4枚目で実現できた感じですね。
――OTAは完成した「Giri Giri」を聴いたとき、どんな印象を持ちましたか?
DJ OTA:リファレンスにしていたのはイマドキのヒップホップの枠に当てはまるような曲が多かったので、リファレンスとはちょっと違った感じの曲調になっているなと思いました。でも、KOMOREBIはジャンルにとらわれないグループなので、僕たちにはマッチしているなって。でも、ぶっちゃけここまでヒットするとは思っていませんでした。
――TikTokの総再生回数は24億回を超えていますが、最初からSNSでのバズを考えて作ったんですか?
MATHEUS:プロモーションとしてTikTokを活用することは曲を作る段階から話していました。TikTokをちゃんとやってみるかと。
――今の時代、使わない手はないだろうと。
MATHEUS:そう。あくまでツールとして使っていこうと。で、ちゃんと考えて作った1本を出してみたら、それがバズってくれて、そこから何本も出していった結果がこうなんです。だから狙っていたといえば狙っていたんですけど、曲としてTikTokのバズを考えて作ったか? と言われるとそうじゃない。
――自分たちの中で「これは来たぞ?」と思ったのはどのタイミングだった?
MATHEUS:それこそOTAが女の子とぶつかってコーヒーをこぼす動画ですね。あれで来た来たと思った。
@komorebi.official
SAM:通知止まんない! みたいな。
MATHEUS:でも、そこで終わらせるんじゃなくて、同じような展開の動画を何本も出していったんです。クオリティを上げるというよりは同じ感じを続けていく。コメント欄では「コスってる」とか言われてますけど(笑)、その結果広がって、いろんな人とコラボさせていただけるようになったんです。
――TikTokに上げた中で、ぜひもう一度見てもらいたい動画は?
MAXI:まずはさっきMATHEUSが言ったコーヒーの動画。
MATHEUS:あの動画を撮った場所は無国籍通りって言うんです。それをあとから知って、いろんな国にルーツを持つ俺らっぽい名前の通りだと勝手に思って。それが今、“ギリハピ通り”って言われてるらしいです。
――そろそろ聖地巡礼も始まりそう?
MATHEUS:もうやってくれてる人がいるらしい。動画に映ってる「Good good not bad」というコーヒースタンドは僕がバイトしていた場所なんです。そこでコーヒーを買って同じような動画を撮ってる人がいて。お店にはステッカーを貼ってOKな場所があって、そこに俺たちのステッカーを貼ってもらってるんですけど、それをInstagramのストーリーズに挙げてる人もいた。
――では、印象に残っているコラボ動画は?
YUTA:印象深いのはMyMさん(森三中・大島、ガンバレルーヤのユニット)ですね。撮影楽しかった。
SAM:一番始めにKOMOREBIが他のアーティストさんの振付を踊ったのはRIIZEさんだったので、それも印象深いです。
MATHEUS:動画で見たまま覚えたから最初は振付を左右逆に覚えちゃって、やばいやばいって(笑)。
SAM:一生懸命、振付を覚えたし、自分たちのギリハピダンスもコラボできたからいい思い出です。
@komorebi.official その後KOMOREBIメンバーを見たものはいなかった… @MyM ありがとうございました🙏 #GIRIGIRI #KOMOREBI #MyM #ギリハピダンス #ギリギリギリハッピー
@komorebi.official
ツアーファイナル・渋谷HARLEMは「かますしかない!」
――「Giri Giri」がバズって生活面でどんな変化がありますか?
MATHEUS:街を歩いていて指を差されるようになりましたね。「ギリハッピーの人だ」って。
YUTA:それは増えたね。あと「写真撮ってください」も。
SAM:あと、出待ちもやばかった。
MATHEUS:ツアー先の広島ね。新幹線の出待ちで色紙を持ってる人がいて嬉しかった。
――7月から初めての全国クラブツアーを展開中ですが、印象的な場所はどこですか?
MATHEUS:俺は地元の静岡です。俺から連絡をしてないのに地元の友達が「行くぞ、行くぞ」って駆けつけてくれて嬉しかったです。で、俺より酔ってるんですよ。もう面白いなと思って。地元のヤツらはこういうヤツらだったなと思い出して、ちょっと涙がちょちょ切れました。
YUTA:僕は京都ですね。僕はフィリピン生まれだけど、日本で最初に住んだのが京都だったので。8年ぶりくらいに行けたんですけど、京都は人も良いし、ノリも良いし。メンバーのみんなにも「京都、良い」って言われたのが一番嬉しかったです。
MAXI:僕も京都です。ツアーはどこも盛り上がってるんですけど、京都の印象が強すぎて。京都公演の前辺りから喉の調子が悪かったんですけど、せめて気分は上げようと思って、ツアーをサポートしていただいているadidas originalsの一番着たかった衣装でステージに出たんです。そしたら出た瞬間、めちゃくちゃたくさんお客さんがいて。喉のことを忘れるくらいテンションが上がって、ゾーンに入ったような感覚があったんです。ライブでそんな感覚は初めてだったんですけど、記憶がないくらいアドレナリンがぶわーっと出て。自分も調子良かったし、メンバーも調子良くて全体としてベストパフォーマンスができたから、京都が好きになりました。
SAM:僕も京都ですね。一番お客さんが多かった。パワーが本当にすごかった。
DJ OTA:ツアーは全部良い印象があるんですけど、個人的には(取材日の段階で10月に予定されている)熊本と福岡ですね。熊本と福岡にはDJの仕事とかでよく行かせてもらっていて、結構お客さんが入ってくれるので、KOMOREBIのライブではどういうバイブスになるんだろうって楽しみにしてます。
――そしてツアーファイナルも発表されました!
MATHEUS:はい! 10月22日火曜日、場所は渋谷HARLEMです。時間は深夜。いっぱい来てほしい!
YUTA:地元の友達にカッケーと思わせるライブにしたいですね。
――HARLEMという場所には特別感があるんじゃないですか?
MAXI:自分たちが遊ぶために初めて行ったクラブがHARLEMですから。
MATHEUS:他の4人は東京が地元だけど、静岡が地元の俺にとってHARLEMは大東京の大クラブ。上京して初めて行ったクラブですから。ツアーで静岡に行って原点回帰は済んだから、あとはHARLEMでかますしかないです。
SAM:そう、かますしかない! ツアーの集大成を見せたいですね。