真心ブラザーズ、デビュー35年の道のりと現在地 「“いい歌詞を書こう”と思わなきゃいくらでも書ける」

真心ブラザーズ、デビュー35年の道のり

自分を鏡で見てもびっくりする。普段、若い感覚で生きてるから(YO-KING)/本当にライブは楽しいので、やれる限りはやりたい(桜井)

――で、レコーディングとツアーに参加のドラマーとベーシストは、今回が初ですよね。

桜井:YO-KINGさんがソロの時にセッションして、よかったから、「どう?」みたいな感じで提案を受けて。でも、35年も一緒にバンドをやっている人が太鼓判を押すんだから、悪いことはないだろう、と。で、最初に曲出し、顔合わせリハをスタジオでやったんですよ。そうしたら、もうバッチリすぎるぐらいバッチリで。

YO-KING:最初は、数年前に『YATSUI FESTIVAL!』を観に行った時に、古市コータローさんのソロバンドで叩いていたのが、彼の息子の健太くんで。その時、挨拶ぐらいはしたのかな? それで去年の秋にDOGADOGAっていうバンドと、木(KI)というバンドとYO-KINGで東名阪のツアーをやったのね。僕は前半弾き語りで、後半はDOGADOGAと木(KI)の混合バンドで3、4曲。それがよかったし、楽しかった。それに、今回『KING OF ROCK』というキーワードでガチッといくんだったら、今までやったことない人とやるのも勢いが出ていいかなと思って提案したの。ドラムが古市(健太)くんで、ベースがKI(木)の大橋哲くん。哲と健太で「TEKKEN」というバンドになってます。

――過去のリズム隊のなかで、いちばんおふたりと世代差がありますね。

YO-KING:そういう未知数も含めておもしろいなって。なんなら、ちょっとヘタでもいいなと思ってたの。でも、フタ開けたら――。

桜井:めちゃうまいよ。

YO-KING:テクニックがすごくあるふたりだった。いい意味で裏切られた。でも、ヘタクソなバンドもいつかはやってみたいんだよね。

――デビューの時から、ベースもドラムも、すごい人たちとしかやってないし。

YO-KING:そうなんだよね。ヘタって言うのは、洋楽で言うとThe Shaggsとかあるじゃない。あとリチャード・ヘルとかも。ヘタじゃん、歌。ああいうかっこよさ。ジョン・ライドンだって、テクニックで言うとうまくないかもしれないけど、いいじゃない? ドラムも初めてスティックを持った奴が突っ走ってる、みたいなね。燃えてくるじゃん、こっちも。

――曲はどんどんできました?

YO-KING:曲はいくらでもある。そのなかから『KING OF ROCK』っぽい、勢いのある曲を選んで。コロナ禍のあいだ、ずっと俺、曲作りしてたから。週2曲ぐらいのペースで作ってた。1年で100曲でしょ。今は300曲ぐらいあるのよ。(曲の)いい悪いはわかんないよ? ただ、数はすごい。数だから、結局は。

桜井:(笑)。

YO-KING:質じゃないから。量だから、量!

――桜井さんは、そんなに膨大にストックはないですよね。

桜井:全然膨大じゃないです。それでも10曲ぐらいは出したんじゃないかな。あとは、YO-KINGの曲にどうギターで食らいつくか、みたいな。『KING OF ROCK』の時ほど、アレンジでガーッと出しゃばることはしなかったんですけど。「オレは音楽」という曲は、最後の最後に桜井がYO-KING素材をバキバキに編集して、アレンジして(完成に)持っていった感じです。それ以外は、作り込まずにラフにやったほうがいいと思って。

真心ブラザーズ「オレは音楽」Music Video

――『KING OF ROCK』って、実はすんごい緻密に作られてますもんね。

桜井:アレンジしまくってます。あの時はまだヘタなのがイヤだったからね(笑)。今は全然いいんだけど。

――「オレは音楽」という曲が、特に象徴的だと……何十年も前から、何度もこういうことを歌っている気もしますが、「今だからまた言いたい」というのがあったのかなあと。

YO-KING:ああ。たしかに、この曲は『マイクナシ』であったり、ライブをいろいろやってるということが影響はしているかも。ライブがあればあるほど、数が多くなればなるほど――あのね、ステージ上がいちばん落ち着くのよ。ラクなの。音楽が本当に自然にできるの。自然にギター弾けて、自然に歌えて、その時に音楽と一体化してるような感じがするんだよね。そういう歌なのよ。

――それは、ここ数年で至った境地?

YO-KING:そうねえ……。めずらしく、ここ(左手の指先)もずっと硬いしね。

桜井:はははは。

YO-KING:今ギターめちゃうまいよ、俺(笑)。

――桜井さんも、真心以外にウルフルズのサポート、何年も続いてますよね。

桜井:うん。本当にライブは楽しいので、やれる限りはやりたいですよ。最近、バンドも弾き語りも変わんなくなってきたな、楽しみ方とかも。ウルフルズみたいに、よそのバンドに乗っかるのもそれはそれで闘い方、楽しみ方が全然違うから、全部おもしろいというか。こないだ、釧路のイベントで真心に峯田(和伸)くんが乗っかってくれて3人でやったのもすげえおもしろかったし。飽きるということはくるのだろうか、っていう。

――この間、『MONSTER baSH 2024』に出演された時(8月25日)、YO-KINGが「自分が今日の出演者のなかで最年長だ」と言って、桜井さんが「スカパラがいないとこうなります」と。

桜井:(笑)。

photo by 桜井秀俊

――あたりまえだけど、「そうか、ミュージシャンって定年ないんだな」と思って。それこそ真心のレコード会社やマネジメントの社員も、片っ端から定年じゃないですか、もう。

YO-KING:はははは。たしかにね、同世代の人がぼちぼちね。ゴール見えて来てるよね。

――最近、レコード会社の真心の歴代の担当者に偶然会うことが多かったんですよ。「僕、今日で定年なんです」って人もいたし、それこそ亡くなった方もいて葬儀に行ったり。

YO-KING:まあ、それはいろいろ思うよね。でも、35周年ってそういうことだよね。

――現役のまま、そんな世代に差し掛かっている、しかもこんなにバキバキのアルバムを作っている自分たち、というのは――。

YO-KING:でもまあ、結果だからなあ。そうなろうと思ってなってないから、なんとも言えないんだけど。でも俺、本当にすごく若い気持ちでいるから。わかってないんだよね。実年齢とかも時々考えるけど、びっくりするぐらい自分の考えとギャップがあるの。「あ、そっか、俺もうこんな歳なんだ?」って。どっかで止まっちゃってるんだよね。だから、人を見てもびっくりするし、自分を鏡で見てもびっくりするんだけど。普段、若い感覚で生きてるから。健康だしね。体力もあるし、声も出るし。

photo by YO-KING

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