真心ブラザーズ、10人編成“MB's”で繰り広げる音楽の自由さ LINE CUBE SHIBUYA公演

真心ブラザーズ、10人編成“MB's”レポ

 ホーンセクションを含む10人編成バンド“MB's”のライブをほぼ毎年の恒例行事としてきた真心ブラザーズ。長らく中野サンプラザホールで行われてきたが、同会場は昨年をもって閉館。今年はLINE CUBE SHIBUYAでの開催となった。4月28日に行われた『Continue ~今年は渋谷に全員集合~』の模様をレポートする。

 MB'sの10人が勢揃いしてスタートした「ずっと遊ぼう」。ホーンセクションの演奏が先陣を切った直後、他の楽器も合流。瞬時に構築された華麗なアンサンブルにワクワクさせられた。「ENDLESS SUMMER NUDE」に突入すると、一際明るい昂揚感で包まれた客席。CD音源で繰り広げられていたYO-KINGとうつみようこ(Cho)の歌声のコンビネーションを生で聴けるのは、本当に贅沢な体験だった。

YO-KING
桜井秀俊

 「年一回の恒例行事でございます。10人編成のMB'sで年一回のスペシャルライブ。初日にして千秋楽です(笑)」――最初の小休止で挨拶をしたYO-KINGは、紅白のカラーリングが目を引く小道具にふと目を止めると、「何これ?」と無邪気に言った。後ほど披露する曲のネタバレになってしまうので「やめなさい(笑)」と慌てていた桜井秀俊。ほのぼのさせられるふたりのやり取りを経て、多彩な曲たちがさらに披露されていった。「新しい夜明け」、「うきうき」、「ループスライダー」……豪華なバンドサウンドによって大いに輝いた各曲。YO-KINGのブルージーなエレキギターが加わった「メトロノーム」も、MB'sの演奏が抜群に冴え渡っていた。

 今年で結成35周年である旨が告げられると、客席からステージに向かって届けられた祝福の拍手。「ずっと遊ぼう」をライブで披露するのは、2007年にリリースされたアルバム『DAZZLING SOUNDS』のツアー以来だったらしく、「いい曲ですねえ。やっと時代が追いついてきた(笑)」と、YO-KINGは上機嫌であった。そして編成が変わってのブロックがスタート。まずは「情熱と衝動」、「マイ・バック・ページ」、「すぐやれ 今やれ」が披露されたが、コンガやYO-KINGが吹き鳴らすブルースハープも交えつつ、幅広い表情のサウンドが生み出されていた。「ハロー」では、桜井がスチールギターをプレイ。オーガニックで温かなサウンドを堪能することができた。

 「俺、インスタで小説を小出しにしているんです。毎日ちょっとずつ書いて2、3年で小説がひとつできたらいいなあっていう甘い考えで始めて、書き出せば物語が始まるんじゃないかなと思ってたの。でも、何も起こらない(笑)」――YO-KINGの近況報告を聞いた奥野真哉(Key)が「俺、少女漫画を描いてる」と話に加わったMCタイム。話題が自由に広がり、楽屋でのメンバーの様子を想像させてくれた。「35周年ということで『うみ』をやりたいと思います。しかもシングルバージョンで。ピアノが入っているんです。俺が弾いているんだよね?」と問いかけられた桜井は、「あれは私です!」と断言。1989年にリリースされたメジャーデビューシングルにまつわる記憶違いが判明して観客は大爆笑。そうしてスタートした「うみ」は、YO-KINGと桜井が並んでアコースティックギターを奏でたその佇まいが、初期の真心ブラザーズを思い出させてくれた。

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