『呪術廻戦』の世界を彩る珠玉の名曲たち 原作完結を前に振り返るKing Gnu、Eveらアニメ主題歌の軌跡

 話を第2期『懐玉・玉折』の2曲に戻そう。「青のすみか」は、サビでスケール感を上げていくサウンドに合わせ、映像でも空間の奥行きを活かすフレーミングでスケール感をリンクさせることに成功している。エンディングテーマの「燈」は、ギターの弾き語りで始まる、決して音数は多くないミディアムバラード。その音像に合わせて、映像の情報量も少なく、丁寧に紡ぐような構成になっている。一定のテンポで変わっていく映像が言葉単位で歌詞とリンクし、曲を明確に映し出していく。このエンディングムービーは、雨のシーンから始まるが、最後は青く晴れた空の下で五条と夏油が歩き出すシーンで終わる。もしや、このシーンがオープニングムービーの青い空に繋がっているのか……などいろいろと深読みしてしまう。深読み合戦は『呪術廻戦』ファンにとってはお馴染みだが、最終回が近づいてもなお、SNSではファンによる深読みや考察が繰り広げられている。

TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:キタニタツヤ「青のすみか」
TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:崎山蒼志「燈」

 また、「まったく終わる気がしない」という言葉も目立つ。そんな中で、原作者・芥見下々は完結が発表となったタイミングで「自分の望んだ形で物語を締めくくることができるのは、ひとえに読者の皆様のご支援とご協力のおかげです。ありがとーう!!『呪術廻戦』を支えてくれた、できるだけ多くの人達が納得できる(多分)ような最終回を鋭意制作中です。それでは皆さん!!平にご容赦下さい!!」(※1)と、コメントを寄せている。

 原作の最終回を前に、『呪術廻戦』「懐玉・玉折」の総集編が、2025年に劇場版として公開されること、芥見下々『呪術廻戦』展が東京に続き、2025年に大阪と福岡で開催予定であることなどが発表になった。アニメの続編『死滅回游』の放送時期の発表も待たれるアニメ『呪術廻戦』シリーズ。筆者は単行本を全巻所持しているが『死滅回游』に入ってからは、新刊が出る度に3巻くらい戻っておさらいをしないとついていけないほど、濃密で情報量(呪術を物理的に説明しようとしている)の多いストーリーが展開されている。もちろん最終回は気になるところだが、明らかにタッチが変わった原作がどう動くのか、あのシーンはどう描写されるのか、そしてその映像に、どう音楽がシンクロするのか、どんなヒット曲が生まれてくるのか……考えれば考えるほど楽しみは尽きない。

TV アニメ『呪術廻戦』続編「死滅回游」制作決定映像

※1:https://www.cinematoday.jp/news/N0144510

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