BOYNEXTDOOR、『19.99』は聴きやすさと深みが融合した一作 隙のないポップスとしての完成度の高さ

CD Chart Forcus

参考:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2024-09-23/

 2024年9月23日付(9月17日発表)のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは、BOYNEXTDOORの3rd EP『19.99』で、推定売上枚数は133,956枚だった。続く2位には、推定売上枚数55,014枚であいみょんのニューアルバム『猫にジェラシー』がランクイン。ほか、トップ10圏内の初登場作品としては、5位 WHITE SCORPION『Caution』(推定売上枚数13,343枚)があった。

 今回取り上げるのは、首位BOYNEXTDOOR『19.99』。HYBE傘下のレーベル・KOZ ENTERTAINMENT所属の6人組ボーイグループで、今作は3作目となるEP。一見そっけない数字だけのタイトルは、“20歳になる直前”の状態を表しているという。BOYNEXTDOORは、昨年から今年のはじめにかけて大きく話題になったK-POPにおける「イージーリスニング」の流れを代表するグループのひとつといっていい(なんなら、今年7月に日本デビューにあたってプレスリリースに掲載されたテキストにも、さりげなく「イージーリスニング」が掲げられている)。もちろん、今作『19.99』も、ドラマチックな展開は控えめに、聴きやすく親しみやすい楽曲が揃っている。

BOYNEXTDOOR (보이넥스트도어) 'Nice Guy' Official MV

 出色なのは、やはり表題曲の「Nice Guy」。スウィートな歌メロに柔らかいハイトーンなボーカルが響き渡るイントロから惹きつけられるが、少しトロピカルなテイストのビートにファンキーでレトロなリードシンセ、そしてグルーヴィーなブラスが絶妙な聴き心地に仕上がっている。シンガロングしたくなるようなフレーズも盛り込まれ、もう少し続くらしい残暑の夜に、みんなで大きな音で聴きたい曲だ。

BOYNEXTDOOR (보이넥스트도어) Track 5 '스물' Official Audio

 「20」はゆったりとしたビートとメロディアスなボーカルがこれまた心地よいR&Bテイストの1曲。シンプルに聴き流せそうでいて、よく聴くと音色やフレーズの変化を通じてさりげなくも大胆な展開が続く。1分14秒あたりで小休止を挟んで、もこもことフェイザーのかかったベースラインが登場するのが心憎いし、このままリラックスした雰囲気で幕を閉じるかと思いきや、2分10秒からこれまたシンガロングしたくなるようなダイナミックな歌メロが登場。アルバムのテーマを真っ直ぐに伝えるような、20歳になった若者の焦りと不安を描く歌詞も良い。

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