SICK HACK「ワタシダケユウレイ」、配信開始でチャートイン “ぼざろ”楽曲ならではの完成度の高さ

 ここでSICK HACK「ワタシダケユウレイ」について掘り下げていこう。前述したアニメの第10話で描かれるSICK HACKのライブシーンで演奏される「ワタシダケユウレイ」は、ひとことで言うなら激しいサイケデリックロック。目まぐるしく変わるバンドアンサンブル、途中で何度も挟み込まれる変拍子、ぐいぐい前に出てきてバンドアンサンブルを支える無骨なベースライン、アディクトなフレーズやソリッドなカッティングに加え、エフェクターを細かくチェンジしながら変化自在なアプローチをみせるギター。そんなスリリングなバンドアンサンブルの上に仁王立ちのように佇むボーカル。少しぶっきらぼうだがエモーショナルな歌声は、音域は決して広くないが、サイケデリックロックのひとつの特色とも言えるフレーズ最後の終わりのトーンをわざと揺らす歌い方(言葉を選ばずに言えばルーズなニュアンスと言えようか)と、低音域の滑舌の良さで、一気に聴く者を楽曲の渦に巻き込んでいく。

 アニメ10話の中で、結束バンドのメンバーがイントロだけで“もっていかれる”様子をサイケデリックな模様をバックに描かれる様は、リスナーが「ワタシダケユウレイ」を聴いた感覚と音楽性を見事にリンクさせた名シーンだ。

 9月からは、全国5都市をまわる『結束バンド ZEPP TOUR 2024 “We will”』がスタートすることに加え、EP『We will』が11月6日に発売されることが決定。9月6日には先行配信もスタートする。『ぼっち・ざ・ろっく!』によって、ライブハウスシーンがもっと活性化していくならば、それが音楽シーンの未来に繋がることは間違いない。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-08-28

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