稲垣吾郎、草彅剛&香取慎吾……新しい地図から久しぶりに届いた新曲2曲は“未来”への歌に
稲垣吾郎がソロで、そして草彅剛&香取慎吾はユニットSingTuyo(しんつよ)名義で、それぞれ新曲を8月22日に同時配信した。新曲をリリースするのは、稲垣が5年8カ月、SingTuyoが6年3カ月ぶりとなる。振り返れば国民的スターである彼らが歌う楽曲は、その時代の“気分”を象徴してきた。2024年に3人が歌う新曲は、喩えるなら柔らかな“風”と、清々しい“光”。コロナ禍を経て新たな未来に向かう世界を歌う、そんなポジティブな雰囲気が漂っている。
新しい日々を〈舞台のはじまり〉と歌う、稲垣×TENDREの「SEASONS」
今春、東京・北海道・福岡・大阪の4都市で開催された『NAKAMA to MEETING Vol.3』にて披露された2曲。稲垣はシャンパンゴールドの柔らかな印象の衣装で「SEASONS」を歌った。動くたびにふわりと揺れ、光沢によって表情を変えていく、そんな衣装の効果もあって、まるで稲垣自身がブーケのような華麗さを漂わせていた。
何十年と聴き続けてきた耳馴染みのある稲垣の優しい歌声で〈今はただ 柔らかな きもちのままで/はじまる未来に 身を任すだけさ〉という言葉を耳にすると、なんだか自然とまぶたを閉じて深呼吸したくなる。そう、どんなに立ち止まっているように感じても、季節は移ろい、風は流れ続ける。あらゆる循環のなかで私たちは生きているからこそ、時にはその巡る世界にありのままの自分で漂ってみるのも悪くはない。肩に力が入りすぎた時に聴くと、スッと心の中に新鮮な空気が舞い込んでくる楽曲だ。
この「SEASONS」を提供したのは河原太朗のソロプロジェクト、TENDREだ。TENDREはメジャー1stアルバム『IMAGINE』をリリースした2021年秋、稲垣がMCを務めるラジオ『THE TRAD』(TOKYO FM)にゲスト出演している。その時、稲垣は収録曲の「胸騒ぎ」が好きだと話しており、特に〈静かな胸騒ぎ〉という歌詞に心惹かれた様子。その後、稲垣のInstagramの投稿にも、舞台の写真とともにそのフレーズが記載されていたのが印象的だった。さらに、稲垣は「FLOWER」をカバーしたいと語るほど気に入っていただけに、今回の新曲がTENDREの書き下ろしであることも納得だ。
TENDREが得意とするゆったりと心地好いメロディと、繊細でキラリと輝く洗練された歌詞たち。そこに稲垣の甘く柔らかな歌声が相まって、『NAKAMA to MEETING Vol.3』のステージで披露された雰囲気からワイングラスを傾けるような大人の時間によく似合うと感じた。だが、聴き込むほどに時間を問わずに日常に溶け込んでいく感覚も。
稲垣が一日の始まりに必ず行うベッドメイキングや朝の公園への散歩、植物への水やり……と、丁寧な暮らしをする風景にもしっくりくる。私たちの生活も実は小さな舞台。この歌を口ずさみながら、まだ〈見知らぬ自分に〉出会える新たな物語を生きていくことができそうだ。