back numberらに次ぐラブソングで物語を彩るニューカマー moon drop、距離が縮まる心情を描く巧さ
moon dropの「風のお便り」が7月クールで放送中のドラマ『焼いてるふたり ~交際0日 結婚から恋をはじめよう~』(読売テレビ・中京テレビ)のエンディング主題歌としてオンエアされている。恋愛の切なさや苦しさはもちろん、恋の始まりのワクワクや、恋愛に対して不器用な姿やどこか間抜けな姿なども愛おしく描いてきたmoon drop 。“週末婚”がテーマのドラマに書き下ろした同曲を皮切りに、彼らはさらに知名度を広げている。
振り返れば、これまでも様々なバンドがラブソングでドラマを彩り、長く聴かれ続ける名曲を生み出してきた。例えばドラマ『オレンジデイズ』(TBS系)の主題歌として、2004年5月にリリースされたMr.Childrenの「Sign」は、20年経った今も普遍的かつ豊潤な1曲として胸を打つ。ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)の主題歌として書き下ろされ、2018年11月にリリースされたback numberの「オールドファッション」では、〈ああ そう 多分そんな感じだ〉〈一体どこから話せば/君という素敵な生き物の素敵さが/いま2回出た素敵はわざとだからね〉と人懐っこい言葉で大きな愛が歌われ、主人公の心情を彩る表現が視聴者の心を掴んだ。さらに、2022年に大ヒットしたドラマ『silent』(フジテレビ系)の主題歌、Official髭男dism「Subtitle」も記憶に新しい。まっさらな雪景色から始まった物語とリンクするように、まっすぐなボーカルから始まる同曲。登場人物たちの苦しみや感動に寄り添う一方で、壮大なバンドサウンドの後ろでしんしんと鳴る鍵盤の音色が透明感を演出していた。
こうした流れに追随する新たな存在として注目したいのが、三重県伊勢市出身の4人組バンドmoon dropだ。メンバーは、浜口飛雄也(Vo/Gt)、清水琢聖(Gt)、 坂知哉(Ba/Cho)、原一樹(Dr)。自ら「愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド」と謳う通り、結成当初からラブソングを発表し続けてきた。というのも、メインコンポーザーの浜口が最も心が動くのが恋愛だからだという。
〈「あっ」って目が合った時に/きっと気付いてしまったんだ/ずっと君を待ってたんだよ〉と恋に落ちる瞬間の喜びや楽しさを軽快なリズムに乗せた「ラストラブレター」(1stフルアルバム『この掌がまだ君を覚えている』収録)や、タイトルの通り離別した恋人への気持ちを素直に綴った「僕といた方がいいんじゃない」(3rdミニアルバム『拝啓 悲劇のヒロイン』収録)はTikTokやInstagramのリール動画のBGMなどに多く使用されており、彼らの共感を生む歌詞とキャッチーなサウンドが、若者中心に多くのリスナーの心を打っていることが証明されている。