back number、Official髭男dism、ナオト・インティライミ……“クリスマス”への気持ちを高める冬ソング
あっという間に年の瀬が近付き、今年も、街中やテレビから様々なクリスマスソングが流れる時期がやってきた。チャートを定点観測していると、この時期に特有の動向として、定番のクリスマスソングが再び上位に浮上する動きが見られる。また、次々と新しく生まれる令和の冬を代表する最新ラブソングもチャートを賑わしている。今回は、このクリスマスの時期に聴くのにぴったりなウィンターソングを4つピックアップして紹介していく。
back number「クリスマスソング」
最初に紹介するのは、平成を代表するクリスマスソングとして長年にわたり愛され続けているback number「クリスマスソング」。今から8年前、2015年にリリースされた楽曲ではあるが、今年の10月にはBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数3億回を突破したことが発表された。同曲は、「水平線」「高嶺の花子さん」に次ぐ再生回数を記録しており、彼らの不動の代表曲としての地位を確立している。
そのタイトルが示すとおり、この楽曲は直球のクリスマスソングではある。しかし、〈君が好きだ〉というストレートな愛の言葉を届ける同曲は、季節を問わずに真価を発揮する普遍的なラブソングとしての一面も持っている。特筆すべきは、〈君が好きだ〉という5文字の結論へ向かうための手続きとして綴られる〈できれば横にいて欲しくて どこにも行って欲しくなくて 僕の事だけを ずっと考えていて欲しい でもこんな事を伝えたら格好悪いし 長くなるだけだからまとめるよ〉という本音の言葉だ。
好きな気持ちを伝えるための勇気を振り絞る過程をありのまま綴ったこの一節は、清水依与吏節が炸裂した名リリックだ。同曲は、クリスマスソングという文脈を、また時代を超えて、恋する者たちの繊細な心情に寄り添う役割を果たし続けている一曲と言える。
Official髭男dism「subtitle」
続いて紹介するのは、2022年10月~12月に放送された大ヒットドラマ『silent』(フジテレビ系)の主題歌に起用されたOfficial髭男dismの「subtitle」。この曲のヒットの波は、年を越えて2023年に入ってからも続き、結果として同曲は今年の上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で総合首位を獲得した。またこの曲は、2023年の各年間チャートも席巻しており、名だたるヒット曲の数々を誇るOfficial髭男dismにとっての新たな代表曲の一つとなった。
この曲はクリスマスをテーマとした楽曲ではないが、ドラマチックな展開、凛とした響きを放つ歌のメロディ、また、〈言葉はまるで雪の結晶〉〈イルミネーションみたいな〉といった歌詞が年末のこの時期にぴったりで、実際にチャートの動きを見ると、リリースから1年が経った今年の冬も、たくさんのリスナーがこの曲を聴いていることが分かる。同曲を語る上では、『silent』の物語との親和性を欠かすことができないが(同曲は、「東京ドラマアウォード2023」主題歌賞を受賞している)、先に紹介したback numberの楽曲と同じように、一つの独立したラブソングとしての高い普遍性を誇っている。愛する人への切実な想いを懸命に綴った歌詞は、これからも季節を問わず、また長きにわたって愛聴され続けていくポテンシャルを秘めた一曲であると言える。