DA PUMP、キャリアを通して実現するダンスカルチャーへの貢献 パリ五輪“ブレイキン”で高まる「Pump It Up! 」への注目

DA PUMP、ダンスカルチャーへの貢献

DA PUMPは日本にダンスカルチャーを広めた立役者

 DA PUMPは日本でボーカル&ダンスグループが広がる土壌を作ったキーパーソンであり、早くからダンスカルチャーを世間に啓蒙した立役者だと言える。

 沖縄アクターズスクールの出身者で結成され、1997年にデビューを果たした彼ら。当時の日本には、ZOOやバブルガム・ブラザーズといった先人はいるものの、R&BやHIPHOPをベースとした楽曲で、歌とラップ、ダンスを組み合わせたパフォーマンスを行う男性グループはほぼいなかった。それゆえ、DA PUMPの存在は、デビュー当初から音楽シーンに新鮮な驚きをもたらした。

 例えば、デビュー曲「Feelin' Good -It's PARADISE-」では、ニュージャックスウィングにロックダンスを交えるなど、結成当初から本場アメリカのストリート感を取り込んでいる。4thシングルの「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」でも、ファンクとR&Bをベースとしたサウンドの中で、ISSAが深みのあるボーカルを繰り広げつつ、SHINOBU、YUKINARI、KENがスタイリッシュにダンスを披露。R&BやHIPHOPといったジャンルを日本で展開するとき、どうしても本場のグルーヴ感を出すことが大きなハードルとなってしまうものだが、DA PUMPはダンサーから始まったグループであることから、そうしたハードルを悠々と飛び越えていったように思う。楽曲のビートをしっかりと消化し、様々なダンスの技巧を使い分けながら、歌とダンスで観客を魅せていく。そんな表現のクールさに影響を受けた人は、多いのではないだろうか。

 DA PUMPが日本のダンスカルチャーの広がりに大きく貢献したという点において、2000年代中盤に放送された『少年チャンプル』『スーパーチャンプル』(日本テレビ系)というストリートダンスをテーマとした深夜番組の存在は大きいだろう。2000年代といえば、SMILE-UP所属のグループやモーニング娘。のような歌って踊るアイドルは存在していたものの、まだストリートダンスは一般的ではなかった時代である。

 DA PUMPはMCとして番組にレギュラー出演。プロからアマチュアまで様々なダンサーやダンスチームと交流し、才能の原石とダンスの楽しさを世の中に発信。当時ストリートダンスやダンスそのものの魅力を伝えてきたことは、日本のダンスカルチャーの発展に大きな影響を与えた。ちなみに、現メンバーのYORIやKENZOなどは同番組への出演がきっかけでDA PUMPにスカウトされていることも付け加えておきたい。また、グループの公式YouTubeチャンネルでは、自分たちでコレオグラフィーを行うグループならではの企画として、メンバーが振付を解説する動画も展開。ダンスカルチャーの啓蒙は、今も変わらずにDA PUMPの中心にあるということだ。

DA PUMP / U.S.A.

 さらに言えば、最近の楽曲では、海外で流行しているダンスを日本人に親しみやすい形へと変換し、誰もが真似できる振付をつくり上げることで、世間とダンスカルチャーとの距離をグッと縮めたように思う。「U.S.A.」がその最たる例だ。同楽曲では、K-POPなどでよく見られていた「シュートダンス」を“いいねダンス”へと変換。誰もが踊りやすいダンスとなったことで、SNSでダンスカバーのバズを生み出し、老若男女にダンスの楽しさを広めることに成功。「U.S.A.」でダンスに初めて挑戦した人も少なくないのではないか。

 しかし、DA PUMPは決して順風満帆なグループという訳ではない。2006年にSHINOBUが脱退して活動休止、そこからメンバーの加入と脱退を繰り返し、2018年の「U.S.A.」での再ブレイクまでは苦しい時期が続いた。そういった苦難の時期を乗り越えながら、日本におけるボーカル&ダンスグループの歴史を少しずつ編み上げ、現在のシーンの礎を築いてきたのである。

 そして7月26日から、いよいよ開幕となるパリ五輪。ブレイキンの種目化により、ダンスカルチャーへの注目度は世界的により一層高まるに違いない。そして、そんなダンスシーンの大きな波の中心に、DA PUMPの「Pump It Up! feat. TAKUMA THE GREAT」があるのは非常にドラマティックではないか。デビューから27年、時代の追い風がDA PUMPに強く吹いている。

■リリース情報
DA PUMP『Pump It Up! feat. TAKUMA THE GREAT』
2024年7月24日(水)発売
詳細:https://dapump-fc.jp/news/detail/465

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる