DA PUMP、木梨憲武&所ジョージが引き出した愛嬌たっぷりの一面 どんな無茶振りにも応えられるプロとしての力量

DA PUMP、木梨&所とのシナジー

 DA PUMPが、約1年8カ月ぶりとなるニューシングル『サンライズ・ムーン 〜宇宙に行こう〜』を5月22日に先行配信、6月7日にCDリリースした。

 エグゼクティブ・プロデューサーにお笑いコンビ・とんねるずの木梨憲武を迎え、“宇宙を楽しく!”をテーマに制作された同曲は、多幸感や愉快さがこぼれ溢れるアッパーチューン。イントロからインパクト大の銅鑼の音が心地よく鳴り響き、インド風の音像とダンスが印象的な、肩の力を抜いて楽しめるナンバーだ。また、制作陣の“人となり”があってこその一曲が非常に痛快で、エンターテイナーとしての心意気が感じられる作品に仕上がっている。

【Music Video】DA PUMP/サンライズ・ムーン 〜宇宙に行こう〜

 同曲が誕生した経緯を先に説明しておくと、昨年12月に木梨憲武のレギュラー番組『木梨の会。』(TBSラジオ)主催のゴルフコンペの参加権をかけた戦いに、一般公募でDA PUMPメンバーのKIMIがリスナーにまぎれて応募したことが全てのはじまりだった。その戦いで、KIMIはゴルフのショートパットを外し敗北するも、メンバー屈指のコミュニケーション力の高さでゴルフコンペの当日、再びスタジオに現れ参加を志願。2度目のチャンスでパターを決め、番組メンバーとなりゴルフコンペに参加。そこからライジングプロダクション(DA PUMPの所属事務所)の副社長、さらにはDA PUMPメンバーを巻き込み、番組では2月にリーダーでボーカルのISSAが歌入れを行うといった、まさにハイスピードで楽曲制作が進んでいった。

 木梨の鶴の一声でかねてより交友があり、ゴルフコンペに参加した所ジョージが作詞・作曲を担当することが決定。さらにはアディショナル・アレンジャーに第65回グラミー賞(R)『最優秀グローバル‧ミュージック‧アルバム賞』を受賞した宅見将典が決まり、番組のスタジオに来ていた、当時2023箱根駅伝で2区ランナーを務め区間2位と2023別府大分毎日マラソン20年ぶりに学生新記録樹立した青山学院大学4年の2人がコーラス参加するなど、まさに人が人を呼び、繋いでいくリレーのように現場は目まぐるしい様子だったことが窺える。所は、千葉方面のゴルフ場へ向かうアクアラインで、「左手に月がまだ残ってて右手に朝日が昇ってたのが頭に残ってたから“サンライズムーン”で良いんじゃねえかな」(※1)と、すでにタイトルが浮かんでいたことも告白しており、その発想力の勢いには、ただただ驚かされた。こうして、今のDA PUMPが提示するスケール特大級の誰もがハッピーになれるアンセムは、わずか数カ月という速さで“勝手に”完成したのだ。

 ここで、今回の楽曲制作陣である木梨憲武と所ジョージについても少し触れておきたい。木梨はお茶の間を賑わすバラエティタレントのイメージが先行するが、2019年以降から木梨憲武名義でソロ活動を行っており、過去にはバラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)では野猿として活動、チャートを賑わせていた。さらには今回の新曲が誕生した番組『木梨の会。』からも音楽シーンを賑わす作品を世に送り出しており、『木梨ミュージック コネクション』と銘打ったシリーズを3作品リリースしている。2021年には、ももいろクローバーZ、マツコデラックス、ミッツ・マングローブ 、中井貴一、遠藤章造、狩野英孝、堀内健という豪華メンバーらとも共演し、その様子を自身のYouTubeチャンネルでも公開。人柄を活かし、毎回あらゆる音楽人たちとコネクトしてきた。

 一方、所ジョージは1977年7月25日に『ギャンブル狂想曲/組曲 冬の情景』でシンガーソングライターとしてデビュー。ミスタードーナツのCMソングも手掛けるなど、キャッチーで大衆受けする特有の“愛されキャラ”を持ち合わせ活躍の幅を広げてきたマルチタレントだ。これまで2人はその場のノリで「私は神様を知っている feat. 所ジョージ」などの楽曲を制作してきた仲だが、じつはフィジカルとして作品を発表するのは『サンライズ・ムーン 〜宇宙に行こう〜』が初めて。今回は、そんな仲の睦まじい2人の雰囲気に酔いしれていたら、うっかり時間を溶かしてしまいそうなフランクな空気感はそのままに、彼らのタレント性の高さや愛嬌がDA PUMPの音楽スケールをさらに越境させた見事なコレボレーションと言える。大人なのに子どものような“良い加減”の2人のグルーヴに、DA PUMPが持つ“陽”の要素が重なり生まれた新たなフランクさが最高に気持ちいい。2人ならではのグルーヴを受けて、26周年に突入したDA PUMPの新章・開幕宣言がここにされたとも感じ取れた。

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