米津玄師「毎日」は“攻めの姿勢”で寄り添う1曲に 軽快なリズムで本音を吐き出す真骨頂

 また、この「毎日」で歌われている内容は、ある意味でブルースと言えるものだ。しかし、その音作りは徹底的にポップで、どこまでもキャッチー。そのギャップに彼の真骨頂が宿っている。サウンドの土台となるリズムは跳ねていて、思わず足を動かしたくなるような楽しさがある。非常に動的で、歌詞のダウナーな世界とは一線を画するポイントだ。

 こうしたサウンドと歌詞のギャップは、米津作品に一貫した特徴である。たとえば、NHK連続テレビ小説『虎に翼』主題歌として繰り返し聴かれることを前提とした「さよーならまたいつか!」には声を荒げて歌う〈空に唾を吐く〉といった表現を差し込んでみたり、PlayStationのCMソングに起用された「POP SONG」には〈全部くだらねえ〉というパンチフレーズが存在する。跳ねるリズムと皮肉じみたリリックの融合という意味では、「Flamingo」あたりのセンスにも通じるものがあるだろう。

米津玄師 - さよーならまたいつか! Kenshi Yonezu - Sayonara, Mata Itsuka !
米津玄師 - POP SONG / Kenshi Yonezu
米津玄師 - Flamingo / Kenshi Yonezu

 キャッチーで射程範囲の広いポップなサウンドに、時には棘のある尖った言葉を、時には飾らない正直な思いを乗せて歌ってみせる。だからこそ、彼の歌は多くの人々の心に響くのだろう。

 米津のそうしたソングライティングのセンスが変わらず発揮されたのが、「毎日」という楽曲だ。数多くのヒットソングを世に送り出してきた彼は、今も自分のやり方で攻め続けている。

Mrs. GREEN APPLE、米津玄師、藤井 風、女王蜂……一人複数役を演じるMVによって深まる解釈

Mrs. GREEN APPLE、米津玄師、藤井 風、女王蜂など、MVの中で一人複数役を演じることによって、楽曲の解釈が深まって…

米津玄師、『虎に翼』主題歌「さよーならまたいつか!」の凛とした軽妙さ 寅子の挑戦に併走する楽曲に

4月1日より放送を開始したNHK連続テレビ小説『虎に翼』の主題歌は、米津玄師の「さよーならまたいつか!」である。一体どのような曲…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる