Leinaが“あなた”に届ける等身大の想い 一体感で包み込んだ『ReUnion』ツアーファイナル
前作『tulip』からわずか半年で2ndEP『ReUnion』をリリースしたシンガーソングライターのLeinaが、それを携えての『Leina Live Tour 2024 "ReUnion"』のファイナルを5月17日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて行った。
開演時間が過ぎ、サポートメンバーがステージに登場するのとほぼ同時に場内が暗転、心臓の鼓動が赤い照明の点滅に合わせて鳴り響く。その音が徐々に速くなり、息継ぎのSEを合図にバンドがドラマティックなテーマ曲を演奏。やがて心電図の同期音だけが残り、フロアをびっしりと埋め尽くしたオーディエンスが固唾を呑んで見守る中、フードを深く被ったLeinaが2人の男性ダンサーを引き連れ姿を現すと大きな拍手と歓声が鳴り響く。一瞬の静寂の後、まずは今年1月に先行リリースされ、『ReUnion』の最後に収められた楽曲「HAITE」からこの日のライブは始まった。「HAITE」はLeinaが中学生時代に体験したいじめや中傷に対する「怒り」をテーマにした楽曲。曲の途中で女性ダンサー2人も加わり、この曲が持つ「怒り」の感情をヘヴィなロックサウンドに合わせ、激しいダンスと振り絞るような歌声で表現してみせた。
続く「ノスタルジー」は、去っていく恋人に対する悲痛な思いを歌う夏の失恋ソング。焦燥感たっぷりに刻まれるギターのミュートカッティングに合わせ、フロアのあちこちから自然発生的にハンドクラップが鳴り響く。Leinaはハスキーボイスで囁くように歌ったかと思いきや、サビでは振り絞るように歌い上げ、平静に装いながらも激しく荒れ狂う心のうちを、静と動のダイナミクスをつけたバンドサウンドとともに見事に表現してみせた。
「こんばんは! 19歳シンガーソングライターLeinaです。今日はワンマンツアー『Leina Live Tour 2024』のファイナルにお越しくださりありがとうございます」と、満面の笑みを浮かべながら元気に挨拶すると、フロアのあちこちから「Leina!」と掛け声が飛び交う。「もう、本当にね……東京ー!! ヤバい、ツアーファイナルだ。今日で4公演目だからすごく寂しくなっているんですけど、今日はみんなのことを愛し過ぎて帰ろうと思っています。みんなも私への愛を、声を出して伝えてくれてもいいですか?」と呼びかけると、割れんばかりの拍手と声援が会場に響き渡った。
TikTokなどで話題となり、彼女の名を一躍有名にした「どうでもいい話がしたい」では、パステルカラーを基調としたカジュアルなファッションに着替えた4人のダンサーとともに、ステージの端から端まで足取り軽くステップするLeina。ハネるリズムに乗せ、サビのメロディをオーディエンスと一緒に歌った後は、なかなか距離が縮まらない片思いの苦しさをドラマティックなミドルバラードに込めた「恋心」と、失ってもなお思い続ける愛の深さを綴った「好きでした。」を、情感たっぷりに歌い上げる。さらに、深くエフェクト処理されたエレキギターが印象的な「胡蝶の夢」では、どこか懐かしいメロディラインをオーディエンス一人ひとりに訴えかけるよう、フロアを見据えながら歌うLeinaにあたたかい拍手が送られた。
ライブ中盤では、アコースティックギターを抱えたLeinaが弾き語りを披露。「We are the two of us」は、2年前の夏に逝去した彼女の父が、母と出会い恋に落ち、そして旅立つまでを歌ったラブソング。「あなたにとって大切な人や、会いたい人のことを思い浮かべながら聴いてください」と言った後、ベースとキーボードがそっと支えるシンプルかつミニマルなアンサンブルで切々と歌った。
「次の曲は、あなたにとって“お守り”になったらいいなと思いながら書いた曲です」
オーディエンスに対し「みんな」ではなく「あなた」と呼びかけながら、アコギと歌だけで披露した「君が死にたいっていうなら」は、アマチュア時代から彼女が路上で歌い続けていた楽曲である。今は亡きLeinaの父が、彼女に残した〈何十年残ってる人生何年か無駄にしても大丈夫だから〉という言葉を歌詞に込め、生きる希望を失いかけている「あなた」に向けて、声の限りに歌う姿が胸を打つ。Leinaが同世代の女性たちから熱い支持を集めているのは、常に彼女たちと等身大で真摯に向き合い続けているからだろう。