ちゃんみな「弱い自分があなたを助けてくれる日が来る」 人生を体現したエンターテインメントショー
ライブ終盤では、“人生にはためになる別れもある”ということを学んだ曲だと語る「Never Grow Up」、盛大なシンガロングを巻き起こした「ハレンチ」、「あなたたちの曲です。歌えよ!」と訴えかけて会場をひとつにした「美人」などを畳みかけたちゃんみな。その後、不意にスクリーンに幼少期のちゃんみなを捉えたホームビデオ映像が映写され始めると、そこには真っ白なワンピースを身にまとった小さな彼女が「白鳥」をひたむきに演奏する姿が収められていた。この映像に導かれるように黒ドレス衣装に姿を変えた現ちゃんみなが「ダリア」を情熱的に歌い上げたのち、彼女は改まった様子で「私がこのツアー、そしてこのショーを考えたときには、今思えば私の精神状態はとっても悪くて」と神妙な口ぶりで話し始めた。
「どうして私ばっかり報われないんだろう。思えばずっとそんなことを思ってきたかもしれない。小さい頃はいじめに遭っていて毎日死にたい気分でした。中学生になったときは両親と対立して、『どうして両親もわかってくれないんだろう』って。そしてデビューしたときは『ヒップホップでもねえしロックでもねえ、あいつなんなんだよ』って言われ続けて。どうして私ばっかり、どうしてこんなこと言われなきゃいけないんだろうってずっと思ってました」と言葉を続ける彼女。「それで私の中にいる、幼いときの自分がどっかに行ってしまった気がして。その子を取り戻したくて、このショーを思いついたんです」と、このライブの構成意図を明らかにした。そして「もしみんなにも私みたいに、自分の中にいるちっぽけな、自信がなくてウジウジしている自分がいたら、どうかその子を追い出さないで、どうか抱きしめてあげてください。いつか、そんな弱い自分があなたを助けてくれる日が来ると思うんです」と切実な口ぶりで訴えかけ、温かな拍手を呼び込んだ。
センターステージに準備されたグランドピアノ前にスタンバイしたちゃんみなは「次の曲は、そんな小さな自分が私に書いた手紙だと思ってます」と告げ、アンセミックなソウルポップナンバー「Good」を晴れやかに歌唱した。舞台上段にもグランドピアノが再度出現しており、そこには本公演冒頭に現れた少女が再び降臨。同曲の後半で2人での連弾も披露された。演奏を終えた少女が幻のように姿を消したあとは、センターステージに残ったちゃんみなが滝のような雨が打ちつける特効とともにラストナンバー「太陽」を高らかに歌い上げ、感動的にフィニッシュ。
アンコールでは、「花火」「Angel」「TOKYO 4AM」を健やかな歌声で軽やかに披露。彼女にとって非常に実りが多かったという長いツアーは、こうしてオーディエンスともども深い達成感に満ちたムードで幕を下ろした。
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