Remi Takenouchiが大切にしていること 楽曲の世界観をさらに輝かせる衣装作りの美学
櫻坂46の衣装ならではの大変さ
――櫻坂46に携わるようになってからということですか?
Takenouchi:そうですね。PERIMETRONのOSRINさんと一緒に仕事をしていたのですが、「今度櫻坂46というグループのアートディレクションをやるんだけど、衣装をお願いできる?」と言われてから本格的に関わるようになりました。
――元々櫻坂46の存在は知っていましたか?
Takenouchi:実は知らなかったんです。当時は欅坂46から改名したタイミングだったので、欅坂46のことは知っていました。(「サイレントマジョリティー」で)工事中の渋谷駅でMVを撮っていて、そのMVがいいんだよ、みたいな話をよくしていました。そんな中で櫻坂46さんと出会った時に衝撃を受けて。櫻坂46さんはアイドルというよりはアーティストとして接していようと考えています。
――櫻坂46の衣装はかなりスケジュールがタイトだそうですね。
Takenouchi:時間がいつもないですね(笑)。特に櫻坂46さんの場合はダンスと同時進行で衣装を用意しなければいけないので、当然イレギュラーな事態も発生してくるんです。衣装を作り始めてから、何度も修正することが多いので、そういう意味では大変ですね。
――ダンスの動きも考えて衣装制作をする必要があるということですね。
Takenouchi:例えば「摩擦係数」という曲が特に大変で。完全にスカートだと難しいですし、パンツでもワイドだと踏んでしまってダンスができないので、かなり試行錯誤して作りました。
――櫻坂46の最新曲「何歳の頃に戻りたいのか?」は山﨑天さんの衣装七変化が話題になりました。MVの冒頭では上村英太郎さんの衣装が起用されていますね。
Takenouchi:この曲は(MV監督の加藤)ヒデジンさんから動いた時に面白い形になるのがいいと言われて、衣装を作り始めました。それこそISSEY MIYAKE的な感じでって言われたんですけど、それだとファッションに携わっている人間はISSEY MIYAKE的な衣装だと気づいてしまいますし、知らない人間もなんとなく勘づいてしまう。私はそれが嫌だったので、どうしようか悩んでいた時に上村英太郎さんの作品を見て、踊った時にかっこいい動きになりそうだし、インパクトもデザインも素晴らしいなと思ってお願いしました。
――監督さんからのリクエストって本当に様々だと思うんですけど、今のお話を聞いただけでもかなり大変な作業だということが分かります。
Takenouchi:スタイリストの業務って、本来は借り物競争みたいなお仕事なんですよ。例えば赤いドレッシーなワンピースを着せたいと言われたら、とにかく探しつつ、その過程でピンクの素敵なワンピースを見つけたら持ってきちゃうみたいな(笑)。
――いろんな選択肢を持っておくということですね。
Takenouchi:そうですね。監督からのリクエストに応えつつ、自分が考えた選択肢もちゃんと持っていくようにしています。
ハマったらとことんの性格
――ちなみに今回のテーマからは逸れるですが、SNSのプロフィールに「ファミ通で連載を持ちたい」と書かれていたのが印象に残っていて、お聞きしたいなと。
Takenouchi:気になりますよね(笑)。私は昔からゲームに関しては廃人なんです。以前、スタイリストのマネジメント事務所に所属していたんですけど、その面接で「最初のゴールを教えてください」と聞かれた時にも「『ファミ通』で連載したいです」と答えたくらい本気で目標にしていて。『ファミ通』で連載できたらスタイリストを辞めてもいいかなと思っています(笑)。
――Takenouchiさんがゲーム廃人というのは全く想像がつかないので驚きました。ゲームは小さい頃からやられていたんですか。
Takenouchi:兄の影響がすごく大きかったと思うんですよ。私が物心ついた時には兄がゲームをやっていたので自然と遊ぶようになったんですけど、いつの間にか私の方がどっぷりハマってしまいました。
――結構のめり込むタイプなんですね。
Takenouchi:そうですね。日本で出ているすべてのハードを揃えましたし、RPGだったら一度クリアして、キャラクターのレベルを最大にした後に最速クリアして、バグを探すみたいな。そこまでやらないと気が済まないんです。これはもう病気だと思って開き直っています(笑)。
――それはスタイリストとしての姿勢にも表れている部分があるということですよね。
Takenouchi:すごく表れていると思います。
――では、スタイリストとしてどんな展望を持っているのか聞かせていただけますか?
Takenouchi:これまで生きてきていろんなことを経験してきた自負があるんです。自分がそうやって経験してきたことや見てきたものが、今やっていることに繋がって1本の幹になってくれたら嬉しいなと思います。
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