ぜったくん&ゆいにしお、初コラボ曲「Pizza Planet」が生んだ化学反応 対談で語るメロディセンスの共鳴
ぜったくんが、新曲「Pizza Planet feat. ゆいにしお」を配信リリースした。“春の出会い”をテーマに、ぜったくんワールド全開のユニークな視点と、ゆいにしおならではのリリカルな表現で見事に絶妙な距離感を描いた「Pizza Planet」。同曲のコラボレーションに至るまでの経緯、ピザを食べながら行われたという制作エピソードなど、“ピザ”を媒介にしてもどかしい関係性、ピュアな関係性をどのように投影したのか、ふたりに対談を通して語ってもらった。(編集部)
認知しながらもノンアプローチ――空白の6年を経て迎えた“意気投合”
――まずはおふたりの出会いからお話を聞かせてもらえますか?
ゆいにしお:……厳密に言うとむずかしい(笑)。
ぜったくん:厳密に言うと……初めての対面はたぶん2018年ぐらい。ビクターがやっていた『ワン!チャン!!』(『Eggs presents「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2018への挑戦~」』)というオーディションがあったんですけど、そこの大阪予選……あれは決勝になるのかな?
ゆいにしお:そうですね。
ぜったくん:そこで一回会ってるんですよ。でも、その時はたぶん一回も話していなくて。お互いがお互いの曲をいいなと思ってはいたんですけどね。
ゆいにしお:認識はされてたし、認識はしていた(笑)。
ぜったくん:僕はゆいにしの楽曲がすごく好きで。SNSもフォローして、いっぱい曲も聴いて……という流れが6年ぐらい続いていました。
――お互いに関心はありながらもコンタクトは取らなかったと。
ぜったくん:そうなんです。
ゆいにしお:私もまったく同じですね。連絡こそ取らなかったけど、ぜったくんのSNSをフォローして曲を聴いて、という時期が6年ありました。
――今回の「Pizza Planet feat. ゆいにしお」の設定と重なるような、ちょっとしたじれったい甘酸っぱさがありますね。
ゆいにしお:共通のミュージシャン友達も何人かいるんですよ。その友達のライブに行くとぜったくんがいたりして。
ぜったくん:そうそう。でも軽く「どうも〜」と挨拶する程度で(笑)。
――お互い興味津々なのに、もう一歩踏み込もうとはしなかった?
ぜったくん:そうなんですよ。お互い飲みに行くようなタイプでもなかったし、ライブ会場でワイワイ飲んだりするような感じでもなくて。
ゆいにしお:「あんまり話しかけちゃいけないのかな?」みたいな(笑)。
ぜったくん:「そういうコミュニケーションはあんまり好きじゃないんだろうな」と勝手に思っていて。そんな具合にずっと打ち解けられなかったんですけど、ZIP-FMの『×music』で対談することになったんです。『×music』の対談企画で「誰か話したい人、いる?」って聞かれた時に、すぐにゆいにしのことが思い浮かんで。「空白の6年をここで埋めるしかないだろう!」と思ってお誘いしました。なんか告白みたいになりますけど(笑)。
――そのタイミングで初めて本格的に話し合ったわけですよね。
ぜったくん:そこでバシッと意気投合して。でも、それも直接お会いしたのではなくてリモートだったんですよ。
ゆいにしお:(笑)。
ぜったくん:やっぱりそれはどうしたってもどかしさが残るんですよね(笑)。
――その『×music』での対談が今回の「Pizza Planet」のコラボレーションに結びつくことになる、と。ここでひとつ確認させてもらいたいのですが、そもそもぜったくんはゆいさんの才能のどんなところに惹かれたのでしょう。
ぜったくん:僕はポップなものに強く惹かれるんですよ。そんななかでゆいにしのメロディセンスが大好きで。それに加えて、歌詞もヤバいんですよね。日常に寄り添った歌詞。僕は女性でもないし、OL的な働き方もしたことがないんですけど、彼女の曲はそういう立場や境遇を疑似体験させてくれるようなところがあって。そこに強く惹かれますね。
――ゆいさんはいかがでしょう?
ゆいにしお:最初にオーディションで聴いた時から、すごくいいと思っていました。「めちゃくちゃ好き!」って。
ぜったくん:「NiGHT SHiFTER」だっけ?
ゆいにしお:そうそう。「この曲、めっちゃいい!」と思って聴いていて。当時HIPHOPをあまり聴いていなかったんですけど、それが入り口になっています。メロディがすごくいいんですよね。お互い、メロの褒め合いになっていますけど(笑)。
ぜったくん:たぶん、好きなメロディのセンスが近いんですよ。
ゆいにしお:うん。今回の曲もすごく歌いやすかったし、きっと近いところにいるんだろうとは思っていました。それに、“ぜったくんワールド”と言えるような独自の世界観があるんですけど、それがまた格好つけた感じが一切なくて。ポップで誰でも入っていける間口の広さがあるんですよね。
――お互いの相性のよさに対する確信があったようですね。
ぜったくん:ありましたね。
ゆいにしお:私もありました。
ぜったくん:ただ、年月が経ってしまってどんどん誘いづらくなってしまって(笑)。だからZIP-FMには本当に感謝ですね。いい機会をいただきました。
――番組が終わったあとは、すぐにコラボのオファーを?
ぜったくん:そうです。放送上、その場のノリで「共演したい」って言っておくケースもあると思うんですけど、僕としては本当にコラボしたいと思っていて。だから、放送後すぐにコンタクトを取らせてもらって社交辞令ではないことを証明したかった(笑)。そのあと、『ワン!チャン!!』以来久しぶりに直接お会いすることができました。
――「Pizza Planet」の構想はその際に提案されたのでしょうか?
ぜったくん:その時点ではまったくできていなかったので、曲の方向性や雰囲気を話し合って。最後に卓球して帰ったんですよね(笑)。
ゆいにしお:ああ、卓球やりましたね(笑)。
ぜったくん:コロムビアさん(ゆいにしおが所属する日本コロムビア)に机が卓球台になっている会議室があるんですよ。「皆さん、ここで実際に卓球やるんですか?」って聞いたら「あまりやらないですね」って言われたこともあって。やっぱりスポーツっていいですよね(笑)。
ゆいにしお:ははは!
ぜったくん:(笑)。曲の方向性は一回でまとまったと思うんだけど……どうだったっけ?
ゆいにしお:ぜったくんが「サビ始まりにしたい」とか「春をテーマにしたい」とか、具体的なアイデアを持ってきてくれて。そのなかで「春が好きかどうか聞きたい」、みたいな流れだったよね。
ぜったくん:「春のどこがすき?」「春のどこが嫌い?」ってね(笑)。
ゆいにしお:あとはぜったくんがIT系の会社に就職したのに初出社して半日で退社した話とかを聞いたり……
ぜったくん:ちがうよ、2時間だよ。
ゆいにしお:(笑)。実は私も最初に入った会社を2カ月で辞めているので、「春ってそういうところもあるよね」なんて話をして。
ぜったくん:「でも、いいところもあるよね」みたいなね(笑)。