Miyauchi「Swag」、アジア圏から逆輸入でバイラル急上昇 国境超えてヒット生み出す中毒性

 そんな目新しい楽曲が並ぶなかで今週特にフォーカスしたいのが、初登場と同時に4位にランクインしたラッパー Miyauchiの「Swag」である。あまりにも突然のランクインに、多くの注目を集めているものの、いまだ「Swag」という楽曲はおろかMiyauchiの存在さえも謎に包まれた部分は多い。Spotifyで配信されている彼の作品カタログを確認すると『Flowershop Freestyle』『”The Mixtape”』の2枚をアルバムリリースしていることがわかる。そして今回4位にランクインしている「Swag」は、昨年末にリリースされた『”The Mixtape”』の収録曲だ。平易なワードを組み合わせた独特なリリックと酩酊感のあるトラップビートが不思議な中毒性を生み出すこのアルバム。なかでも「Swag」の中毒性は群を抜いている。フィンランドのラッパー Korelonによる「Cancel (feat. Turisti)」を大胆にサンプリングしたキャッチーなトラックとMiyauchiのレイドバックしたラップフロウは、一度耳にするとしばらく頭から離れない。

 そんな「Swag」の魅力に真っ先に気づいたのは、日本ではなくアジア圏のリスナーだ。特にベトナムのSpotifyバイラルチャートでは、日本に先駆けて3月下旬よりトップ50圏内にチャートインを開始。徐々にその順位を上げながらとうとうトップ10圏内へランクインを果たすまでになっている。このようなアジア圏でのヒットの火付け役となったのは、TikTok中国版の「Douyin」(抖音)でも拡散された「Swag」のダンス動画だ。その人気はすぐさまTikTokにも飛び火し、瞬く間にベトナムを中心にアジア圏全体に広がった。その後韓国のボーイズグループ TOMORROW X TOGETHERや、日本のみならずアジア圏での人気も高いLDHのFANTASTICSといった人気ボーイズグループが「Swag」のダンス動画をTikTokに投稿したことも同曲の知名度が加速度的に高まった要因だろう。現在ではダンス動画以外のショート動画のBGMとしても広く楽曲が引用され始めており、まだまだバズの規模が大きく発展しそうな予感である。海外から逆輸入するような構図で日本でもヒットの兆しが見えてきている「Swag」。ショート動画アプリの国境を超えた影響力が生み出したバイラルチャートらしいヒット曲といえそうだ。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-04-03

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