離婚伝説、初ワンマンライブでの余裕と貫禄 メロウに奏でた至福のひととき

離婚伝説、初ワンマンを振り返る

 ドラマティックなストリングスシンセに導かれ、松田のビロードのようなファルセットが哀愁のメロディを歌い上げる。そんな「眩しい、眩しすぎる」のサビでは再びミラーボールが回り出し、ロマンティックなムードに包まれるなかでサビのハミングをコール&レスポンス。さらに、昭和歌謡を色濃く受け継ぐ屈指のバラード「萌」は、甘くノスタルジックなメロディが聴き手の琴線を震わせ、エンディングでは別府が歌心たっぷりのギターソロを展開した。

 マライア・キャリーのクリスマスソング「All I Want for Christmas Is You」から繋げたのは、もちろん歌詞にそのタイトルを引用している「グリン・グリーンレッド」。そこから子供番組『シナぷしゅ』(テレビ東京系)に提供した「ファニーとファンキー」へ。ゴリゴリのファンクミュージックに乗せ、別府が〈めちゃファニー・めちゃファンキー/めちゃファニー・めちゃファンキー〉と呪文のように低音ボイスで繰り返すと、フロアのあちこちから歓声が上がる。続く「また旅に誘われて」では、ギターとベースの弾むようなユニゾンフレーズに、オーディエンスが一斉にハンドクラップで応えていたのも印象的だった。

離婚伝説 別府純(Gt)
別府純(Gt)

 いよいよライブは終盤へ。寺尾聰による空前のヒット曲で、ここ最近アジア圏を中心に再評価が高まっているシティポップ曲「ルビーの指環」(1981年)をムーディにカバーすると、会場は大歓声に包まれる。さらに、別府のギターと松田のボーカルがまるでデュエットするかのように絡み合う「You Should Know Your Love」を経て、アルバムでも最後を飾ったミドルバラード「メルヘンを捨てないで」へ。他のメンバーよりも一足先にステージを去る松田を見送った後も、別府がいつ果てるともない長い長いギターソロを弾きまくり(途中、ジミ・ヘンドリックスばりに歯で弾く一幕も)、文字通りの大団円を迎えた。

 鳴り止まぬアンコールに応え、再びステージに上がるメンバーたち。この日二度目の「愛が一層メロウ」を披露すると(「愛が一層メロウ」ならぬ、「愛が二層メロウ」!)、会場は開放的な打ち上げモードに。ここで松田が「離婚伝説、メジャーデビュー決定」を発表し、「ありがとう本当に。みんなのおかげだよ。これからもいい音楽を届けるだけ。それは変わらないから」と感謝の言葉を述べ、「みんなの人生がより良いものになるよう、いい音楽を届けます!」と別府が改めて決意表明をする。お祝いムードに包まれるなか、軽快なモータウンビートが印象的な未発表曲と「さらまっぽ」を続けて披露し、至福の余韻を残しながら初ワンマンの幕を閉じた。

 メジャーデビュー前にして、すでに貫禄すら感じさせる見事なパフォーマンスを届けた離婚伝説。これからの活躍が楽しみでならない。

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