Sexy Zone、改名&中島健人卒業前夜を振り返る 5人全員で“Sexy Zone”を卒業しなければならなかった理由

Sexy Zoneとしてのラストライブレポ

 近づく終わりの時間。ひとりずつ、最後の挨拶として思いを伝えていく。松島は、「皆さんの存在があって、僕らはこうしてステージに立てているということはいろんな場所でお伝えしているんですけれども、さっきもステージに立ってみて、それを強く実感しました」「皆さんに応援してもらえるようなアーティストにもっともっとなっていきたいなと思っているので、引き続き頑張ってまいります」と元気に話してくれた。彼は、この日もずっと笑顔でいた。松島がSexy Zoneであるから乗り越えられた場面、笑顔が咲いた場面が、きっとこの日のようにいくつもあっただろう。佐藤は「ちょっと泣きそうになるので冷静に話します」と前置きをして、「本当にいろいろなことがSexy Zoneはあったと思います。5人で揃えられてた時間がどれぐらいあったのかなって思い返すと、5人の時間って――誰のせいってわけでもないし、これはほんとにタイミングなんだけど、少し寂しい思いをさせてしまった期間もあると思います」と正直さをもって伝える。「でも」と続け、「僕たちは、僕たちがいちばん5人が好きだったし、それを5人が好きなファンのみんなに届けてこれたと思うし、その12年に嘘はないと思う」と。これ以上の本当の言葉はなかったと思う。

 菊池は、本稿冒頭の言葉を口にし、「こっから先、それを僕らの、僕らなりの誠意として、この決断が正しかったと皆さんに思ってもらえるような活動をしていく」と約束していた。「本当にいろんな夢を叶えさせてもらいました」「これからもっと想像以上の僕たち5人でいられるように精進いたします」。丁寧に、真摯に思いを伝える姿勢は、中島が最年長の役割をまっとうしてきた12年間、その背中を見ていたからこそのものだと思う。そして中島は、「もう今日で最後なので」と、メンバーそれぞれへメッセージを伝えていく。「12年のなかで人の成長をこんなにも間近で見れるってのは貴重な経験だった」「アイドルとして聡ちゃんを尊敬してます」と伝えられた松島は、「聡ちゃん」と呼ばれるたびに笑顔を見せる。「勝利ちゃん」と呼びかけられ、「今の話をしている姿とかは、お兄ちゃんからしたら『本当にお前かっこよくなったな』って」と兄からの褒め言葉を受け、はにかむ佐藤。

 菊池に向き合った中島は「隣にいる、菊池くん。いやあ、最後だな。いちばん付き合い長いもんね」と投げかけ、菊池も「15年ぐらいですか」と答える。中島は「本当に――」と続けたのだが、すぐに言葉を詰まらせた。その目には涙がじわじわと浮かんでくる。言葉とともに溢れる表情でわかる。悲しいのとも、嬉しいのとも違う。声を震わせながら、「この16年のなかで――本当に嫌いだった時も好きだった時も全部が青春だったと思うわ。全部が青春だったし。自分を強くしてくれた。このメンバーのなかでも歳も近いし、ほぼ同い年だし、おまえがいてくれたから俺は強くなれたよ、正直」と、溢れてくる涙を拭うことなく、思いを言葉にしていく。そして最後に、「明日からメンバーじゃなくて友達に戻るから」と。菊池も「そうだね」と返していた。

 そのまま菊池が続けた。「中島と出会ってなかったら、たぶんデビューしてないと思う」、そして「たぶん中島が――僕らの世界で言うとシンメ(=シンメトリー)って言うんですけど――中島が俺のシンメじゃなかったら、俺はどっかで腐ってたし、デビューもできてなかったかもしれないし、今のお仕事してなかったと思うので。中島に出会えてよかったなっていうのはすごく思う」「だから、ひとりでソロでやっていくっていうのも応援したいと思ったし、それはもしかしたらファンの子たちからしても、スタッフ/メンバーからしても、『いや、お前が止めないと』っていうのはあったと思う」と。しかし、菊池は笑いながら首を振って「俺は止められなかったっすね」、そう言った。「だって曲かかったらさ、この人のコンディションわかるんだもん、その日の」――どんなに強がっても、人は結局はひとりでは戦えない。それを互いに気づかせ合った、そういう12年間の絆がふたりのあいだには生まれ、存在している。松島は菊池と中島のことを「ふたりにしかない熱量があった」と言い、佐藤も「本当に出会ってよかったよね」と言っていた。Sexy Zoneが5人であったこと、このメンバーとして12年間走ってきたこと、そのなかに宿命めいた“引き”のひとつがあるとするのであれば、それはきっと菊池風磨という人間と中島健人がまったく違う人間であり、そうであったからこそシンメトリーとして成立していたということなのだと思う。誰しもが挑戦するための羽を持っている。だから、どこまでも羽ばたいていい。そう仲間に言ってあげられる彼らが、なんだか誇らしかった。

 最後、「この時間を終わらせたくない」という名残惜しさが先走るメンバーたちによってなかなか締めにいけない時間が続くも(曰く「終わらないコース料理」)、最後に届けられたのは「Congratulations」。悲しい別れではなく、楽しく、笑顔で、感謝を伝え、全員が新しい道へと進む、祝福の扉を迎えにいくための曲だ。一輪ずつ薔薇を手にし、歌い連ねていく。そうして曲を終えて最後、「3月31日にこの名前を置いていきます」、そう中島が口にし、いつもと同じ、「We are Sexy Zone!」という自分たちが自分たちであるという宣言で締めくくったのだった。

 新たな名前、3人によるグループ名は翌日の夜に伝えられた。それもなんだか彼ららしかった。卒業式と入学式、ふたつのセレモニーを同じ日にやらないのが普通であって、ただそれだけのこと。自分たちが愛し、たくさんの人に呼ばれ、愛された“Sexy Zone”という名前を守り、その時間を宝箱に入れ、愛おしい過去もすべてを抱きしめて、みんなで前を向き、みんなでそれぞれの道へ歩み出す。Sexy Zoneは、Sexy Zoneを守り抜いたのだ。

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