LE SSERAFIM、『EASY』での挑戦とチャート席巻で証明した“強さ” 『コーチェラ』目前に拡大する期待
2年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場し、昨年リリースした1st Studio Album『UNFORGIVEN』はミリオンセラーを達成、初の英語によるデジタルシングル曲「Perfect Night」はアメリカのBillboardチャート「Bubbling Under Hot Chart」に20位で初チャートイン。さらに、アメリカの番組『Fresh Out』(MTV)や『TODAY』(『The Today Show』/NBC)に出演するなど、世界的に活動の幅を広げ続けているLE SSERAFIM。来月にはアメリカ最大級の音楽フェス『Coachella Valley Music and Arts Festival 2024』(以下、『コーチェラ』)でのステージへの期待も高まるなか、2月19日に3rd Mini Album『EASY』をリリースした。
世間からの視線を恐れず堂々とあることを掲げたデビュー作1st Mini Album 『FEARLESS』、試練の前での力強さを表現した2nd Mini Album『ANTIFRAGILE』、他人の許しなど必要ないと謳った1st Studio Album『UNFORGIVEN』と、常に外柔内剛的な“自信に満ち溢れ堂々とした力強いイメージ”を表現してきたLE SSERAFIMだが、今回のテーマは成功や今やトレードマークのようになった堂々と毅然とした姿の裏にある不安や悩みの告白だ。
タイトル曲「EASY」は、〈簡単じゃないなら私が簡単にeasy〉というリリックが表現する通り、人から見れば簡単に成し遂げたように見える頂上へ向かう過程や数々の業績の裏には多くの悩みがあり、決して簡単ではなかったものを「私たちがそれを簡単に見せているだけ」と語る楽曲。LE SSERAFIMならではのスワッグ(swag)は健在ながらも、ほんの少し柔らかい部分も見せてくれる。R&Bにトラップの要素を取り入れたトラックは既存のタイトル曲よりも柔和で穏やかな印象だが、パフォーマンスの振り付けには運動量の多いオールドスクールHIPHOPのダンス要素を取り入れており、それでも動きは柔らかくスムーズな印象を与えるような、「EASYではないことをEASYに見せる」という楽曲のテーマそのものを体現しているようだ。
イントロダクションの役割を果たしている「Good Bones」は、詩人 マギー・スミスの詩「Good Bones」からインスパイアされた楽曲。LE SSERAFIMは、「醜悪な現実の中にも美しさがある」というメッセージを韓国語、英語、日本語のナレーションで盛り込んでいる。特に「Because I've made it look easy」という歌詞は、今回のアルバムのテーマはもちろん、タイトル曲「EASY」にもつながっている。
優雅ですべてを簡単に手に入れたように見えるLE SSERAFIMが、見えないところでは誰よりも血と汗を流して努力していると歌う楽曲だ。作詞にはメンバーのKIM CHAEWON、SAKURA、HUH YUNJIN、KAZUHAが参加したことが、楽曲のメッセージをよりリアルな温度感で感じられる。
MVも公開された「Smart」は、1を見て10を知るようなスマートさで「勝者(winner)になる」という抱負を歌った曲で、「すべては大きな野望を持つ私の計画通り」という展望と「私の敗北の上に咲く美しさの代わりに/もっと強い名前 “villain”を選んだ」のフレーズには、今まで彼女たち自身も自称してきた強靭さやタフネスを超えたスマートな強さを感じさせる。避難や中傷を浴びることが通常運転であるvillain(ヴィラン)=悪役を標榜することは、“ガールグループ”としてはリスクもあるだろう。しかし、それが同時にリスクの根源となる非難そのものを無効化する力も感じさせる。