LE SSERAFIM、IVE、ENHYPENら映像手掛けるユ・グァングェンの才能 ミン・ヒジンに続く注目の裏方に?
LE SSERAFIMの3作目のミニアルバム『EASY』が2月19日にリリースされ、それに先立って公開されたトレーラームービー「Good Bones」が話題となっている。
「計り知れない未来。私は私が一番つらい。あなたもそうじゃない? それでも私は沈んだりしない。簡単に見えるようにやってのけただけだから」。このようなメンバーらのクールな台詞を散りばめた映像は最初から最後までスタイリッシュな演出が施されており、余計なカットが一切ないせいか、飽きることなく一気に観てしまう。
明確なストーリーはないものの、彼女たちの強い意思や揺るぎない美学がしっかりと伝わり、質の高い短編映画を観たような満足感を与えてくれる。このトレーラームービーのディレクションを担当したのはユ・グァングェン。韓国ではCMの監督として知られている。
彼の詳細なデータは見つからなかったが、現地メディアの情報を確認すると、大学時代は視覚デザインを勉強していたようだ。その後、映像を学ぶために業界で知られた存在であるパク・ミョンチョン監督のプロダクションに参加。そこで3年ほど助監督として働いたのちに、コーヒーの広告でデビューしたらしい。代表作としてはソナタ(自動車)、現代カード、SKテレコムなどがある(※1)。
彼がK-POPに接近したのはLE SSERAFIMが最初ではない。2022年には、韓国のコスメブランド・タンバリンズとBLACKPINK JENNIEのコラボレーション動画を制作している。ディレクションだけでなく脚本も手がけたこの作品は、同ブランドから発売した香水の香りを感覚的に表現したもの。
香りを探すようなJENNIEの動き。服を脱ぐときやドアを開けるときのノイズ。その合間に挿入されるクラシック音楽。こうした要素で神秘的な雰囲気を演出したのは、視聴者に香りに対する好奇心を持ってほしいとの願いからだという。
今までに制作に関わった数々の映像を観ると、女性を繊細に美しく見せるのが得意な人であるように感じる。彼にスポットライトが当たるようになったのは、韓国ドラマ『猟奇的な彼女』や『星から来たあなた』といった作品で知られる女優、チョン・ジヒョンを起用したフィスラーのCM(2013年)がきっかけだったと思われる。
ブラックスワンとなった彼女は、ドイツのコンテンポラリーダンスの巨匠、ピナ・バウシュからインスピレーションを受けて作ったという優雅なダンスを踊り続ける。CMであるにもかかわらず、商品の説明は特にない。それでいて、わずか30秒の映像で同社のステンレス鍋の高級感や清潔感をしっかりアピールできていることにただただ感嘆する。