ソニーミュージック発「VEE」所属タレント集結 オリジナル曲や初全体曲も存分に披露した一夜
ソニーミュージック発のバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト「VEE」による初のライブイベント『VEE CONCEPT LIVE「Merge」』が、2月28日、東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で開催された。各タレントの個性を尊重し、それぞれの“夢”を実現させるための活動を展開している本プロジェクト。現在26名のバーチャルタレントが所属し、日々の配信を中心に各自がユニークな活動を行っている。今回のライブには、現在活動中の25名のタレントが集結。チケットは完売、会場には多数のファンが駆けつけ、バーチャルとリアルの垣根を超えた“ライブ”ならではの相互交流を満喫した。
2021年7月、プロジェクトの始動がアナウンスされると同時に『VEEバーチャルタレントオーディション』が開催され、2022年5月に第1弾バーチャルタレント(総称「Dev-a」)として5名がデビュー。その後も段階的にタレントが数名ずつ加わっていき、2023年11月の第7弾「Dev-g」をもって、オーディションの合格者全員がデビューとなった「VEE」。ハコとして大規模なオフラインイベントを行うのは今回が初めてで、会場には、タレントたち直筆のプロフィール帳や自身の個性を形成・象徴する私物の展示、さらに2024年1月に行なわれた所属タレント全員参加の配信企画「ビバ!学力総合頭脳試験」の答案用紙の一部が張り出されるなど、彼らのことが身近に感じられる企画が目白押しで、それらを撮影して楽しむファンも多く、ライブ開演前からさながらパビリオンのような雰囲気だった。
ライブは所属タレント全員の紹介を兼ねたオープニング映像を経て、「VEE」のビタミン担当こと落ちこぼれ悪魔の音門るきによるパフォーマンスからスタート。彼女が歌うのは、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也がオーガナイザーを務める「アニソン派!楽曲アワード2023」のノミネート楽曲に選ばれたことでも話題になった、自身初のオリジナル曲「きっとビタミン」だ。ステージの巨大ビジョンに映し出される3Dモデルの彼女が、かわいい振り付けを交えながら栄養素たっぷりのキュートな歌声を会場いっぱいに降り注ぐ。サビでの張りのある高音を浴びて、オーディエンスは声を上げて盛り上がる。音門は最後、ウインクしながらピースポーズを決めてアイドルっぽく締め括った。
続いては、偉雷アマエ、芽々守あん、雨庭やえの2Dモデルが3人横並びで登場し、2023年のSNS界隈を賑わしたバズ曲の1つ「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」(MAISONdes feat. 花譜, ツミキ)をカバー。TVアニメ『うる星やつら』の第1クールEDテーマとしても知られる本楽曲、歌唱メンバーのうち偉雷は「雷」に縁があることから、もしかしたら“ラムちゃん”繋がりの選曲だったのかもしれない。いずれにせよ、3人の愛らしい歌声の混ざり具合が絶妙だった。
3番手は、おばけ族と人間のハーフ、白粉いと。本邦初公開となる3Dモデルで登場して、ファンは歓喜の声を上げる。会場のペンライトが真っ白に染まるなか、彼は歌ってみた動画でも取り上げていた「夜もすがら君想ふ」(TOKOTOKO/西沢さんP)を、ステップを踏みながら軽やかに歌唱。切れのある動き、かなりの運動量にも関わらず安定感のある歌声など、目を見張るパフォーマンスで喝采を浴びた。
MCパートでは、ここまでのステージに登場した5人が集まって、いつもの配信のノリで楽しく賑やかにファンと交流。コール&レスポンスなども行って、リアル会場ならではのバイブスを高めていく。そしてライブは、ミュウ・ガルシア、北白川かかぽ、浮々ゆにこの3人による「テレキャスタービーボーイ」(すりぃ)のカバーで再開。カラフルな色使いの映像演出も相まって、ポップだが一癖も二癖もあるステージを繰り広げていく。さらに九条林檎が3Dモデルで登場し、オリジナル曲「Ahhhhhh」を披露。彼女の普段のしゃべり声に近い低音パートと、可憐で高貴な高音パートがハモりあって、中毒性の高い歌世界が展開される。自ら考案したという振り付けも華麗で、吸血鬼キャラらしい華のあるステージングだった。
ミュウ・ガルシアと浮々ゆにこのチビッ子ないがみ合いが目立ったMCに続いては、蒼宮よづりが初オリジナル曲となる新曲「ワンモアタイ」を携えて3Dモデルで登場。彼女の柔らかくてふわふわした歌声が映えるエレクトロポップで、ドット絵仕立てのレトロゲーム風の映像演出も含めて、異世界からやってきた冒険者兼ゲーマーの彼女らしい楽曲だ。さらに桜鳥ミーナも、先日リリースされたばかりの新曲「ダンシング☆PONPON」をライブ初お披露目。往年の歌謡曲やシティポップのフレイバーと近年のクラブミュージックの要素が合わさった本楽曲、狙うは間違いなくフューチャーファンクな世界観だろう。3Dモデルの桜鳥はあえてハンドマイクを左手に握り、昭和アイドルのようにパフォーマンスしていた。
羽澄さひろ、言のハ、月白累という、「VEE」のなかでも独特な世界観を持つ3人が歌ったのは、ヨルシカ「左右盲」のカバー。楽曲の展開に合わせてリリックが映し出されるなか、彼女たちは言葉の一つひとつを大切に紡いでいく。終盤、1人ずつ順番に自身の担当パートを歌い、最後の一節〈ずっと一つだと思ってたんだ〉のところで3人が声を重ねて1つになって締め括られる演出は、彼女たち3人がこの曲を一緒に歌う意味が感じられて素晴らしかった。