ソニーミュージック発「VEE」所属タレント集結 オリジナル曲や初全体曲も存分に披露した一夜

ソニーミュージック発「VEE」イベントレポ

 そしてライブは早くも後半戦に突入。エセ不良少女の天籠りのんが、初お披露目の3Dモデル姿で日向電工「ブリキノダンス」のカバーを歌い、かわいらしい見た目とは裏腹の威勢のいいボーカルを聴かせて会場を熱狂させると、続く秋雪こはくはなんとDJブース(の映像演出)と共に登場。曲名未発表で初公開となるEDM仕様のオリジナル曲でZepp Shinjuku(TOKYO)のフロアを揺るがす。甘い声で「Jump! Jump!」と煽ったり、2番ではラップ風の歌唱を披露したり、ブースから飛び出て大きな狐のしっぽを振りながら「Hi! Hi!」と煽ったりと、元気いっぱいのパフォーマンスで盛り上げた。

 サラマンダーの黒燿リラも、この日が初披露となる3Dモデル姿で登場し、「マフィア」(wotaku)のカバーを歌唱。低音域を活かしたクールな歌い口だけでなく、楽曲に組み込まれた銃声の音に合わせたガンアクションで、ファンの心を「バン!」と撃ち抜いていく。亞生うぱる、甘楽デイティー、緋墨の3人はエレクトロスウィング調の「エバ」(柊キライ)のカバーで、焦燥感の滲むハイトーンボイスをぶつけ合う。その鮮烈なパフォーマンスから一転、アイドル現場さながらのキラキラしたステージを見せてくれたのが、雛星あいる、るみなす・すいーと、日和ちひよの3人。彼女たちはHoneyWorksが手掛けるプロジェクト「告白実行委員会」シリーズに登場する女性アイドル・mona(CV:夏川椎菜)の人気曲「ファンサ」をラブリーに歌って、会場から「もっと!」の大合唱を引き出してみせた。

 人々に安らぎを与えるべく活動する安心教の教祖・安心院みさは、まるで彼女が歌うために仕立てられたかのような「こちら、幸福安心委員会です。」(うたたP)のカバーで、何かを妄信することの快楽と危うさを身をもって表現する(金の仏像やチャクラ図が飛び交うサイケな映像もヤバかった)。そして10万19歳の魔王トゥルシー・ナイトメアが、FAKE TYPE.提供のカオティックなエレクトロスウィング「革命のオーバーチュア」を披露。リズミカルなラップパートもノリよくこなしながら、蠱惑的なキャンディーボイスでファンを魅了し、最後は曲のテンポがどんどん速まって頂点を迎えると同時に、急にステージに穴が開いてトゥルシーが落下、というバーチャルステージならではの結末を迎えた。

 その後のMCで、「普段インターネットでお会いしている皆さま方と、この空間、この場所で過ごしたことは、私たちにとって、特別で、素敵な、“非日常”でございます」(安心院みさ)、「『Merge』と名付けられたライブは、次で最後の曲となります。『Merge』は終わります。この先、形が変わっても、私たちは私たちです。皆さん、一緒についてきてくれますか?」(トゥルシー・ナイトメア)と呼び掛け、客席が大歓声で応えると、最後はこの日の出演タレント25人が勢揃いして「VEE」初の全体曲「絶対零度の世界から」を全員で歌唱。温度のないバーチャルの世界から、様々な感覚に溢れた現実世界に向けて、25人がそれぞれのパートを歌い継いでいきながら、心や感情を届けていく。サビで全員が声を重ねて歌う〈絶対零度の世界から 君に会うために生まれた〉というフレーズが、その場にいるすべての人々の体温を熱くさせる。バーチャルとリアル、交わらないと思われていたそれぞれの世界が、音楽を通してリンクした瞬間だ。ライブタイトルの「Merge(=融合・統合)」が象徴するように、「VEE」のタレントたちとファンの想いが1つに重なり合うなか、ライブは大団円を迎えたのだった。

 今回のライブを観て改めて感じたのは、オリジナル楽曲はもちろんカバー楽曲の選曲も含めて、各タレントのアイデンティティがより際立つパフォーマンスなりステージングを実現していたこと。そのことからも「VEE」が所属タレントの個性を尊重するプロジェクトであることが伝わってきた。今後、各タレントの個性に合わせて作られたオリジナル楽曲がさらに増えていくであろうことを考えると、音楽的にもますます目が離せないハコになりそうだ。

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