『スナックJUJU』東京ドームに5万人が“来店” 鈴木雅之、NOKKO、小田和正も登場した無二の歌謡ショー

『スナックJUJU』東京ドーム公演レポ

 非常に濃密なこの日のライブの中で、最大のハイライトはなんといっても3人のスーパーゲストだろう。最初のスーパーゲストとして登場したのが、ラヴソングの王様・鈴木雅之。「め組のひと」でキュートに決めポーズを決めたママは、その後、鈴木と「ロンリー・チャップリン」をデュエット。さらに中盤では、ママがよく知るJUJUがリスペクトする女性ボーカリスト NOKKO(ex.REBECCA)が登場して、ママと一緒に「Maybe Tomorrow」を披露。その後、NOKKOと「80年代はいい時代だった。元気な時代でしたね」と会話をするママは、「でも、いつの時代も明日はきっといいことがある、そう思います」と結んだ。

 真っ暗なメインステージに突然ピンスポがあたり、ピアノの弾き語りで「言葉にできない」を歌い始めたのが、3人目のスーパーゲスト 小田和正。「Yes-No」や「ラブ・ストーリーは突然に」では東京ドーム全体が大合唱に包まれた。ゲストと客席の様子を交互に見ながらデュエットしハモっていたママの姿は、とても純真で眩しかったし、無邪気で熱心な音楽リスナーのようだと思った。本当にいい笑顔をしていたと思う。

 この豪華なスーパーゲストが揃ったのは、ひとえにJUJUというアーティストの人徳にほかならない。彼女が20年かけて、真剣に音楽や歌と向き合い、真摯に己の好きなことを追求し続けてきた結果だろう。しかし、冷静に考えてみると、カバー曲メインのライブに本家をゲストで呼ぶということ自体、じつはとんでもないことなのではないかと思う。普通だったら絶対に本家を呼んだりしないだろう。カバーは本家を超えられない、誰もが知るヒット曲ならなおさら……そんなことを大概の人は思うからだ。筆者自身も前述した“大概の人”の部類に入っていたが、この日のライブでそれが簡単に消し飛んだ。たぶん、JUJUの中では、曲に対するリスペクト、そのアーティストがどれだけ好きかが、最も大切なのではなかろうか。好きな曲を愛おしんで歌っている。だからJUJUのボーカルアプローチは、自身のオリジナル曲でも、カバー曲でも、変わらず発音も音の置き方も丁寧だし、大仰なトーンや耳に残るような特別なフックもほとんど出てこない。十分そのスキルがあるのに、だ。彼女はスキルで歌唱することよりも、曲に寄り添い歌うことを選んでいるのだと思う。

 それから度胸と優しさ、そして上品さが、いいバランスで同居している。前述したように本家をゲストで呼ぶという度胸ある決断、来店者を第一に考える優しさ、そして立ち振る舞いや口調からにじみ出る上品さ。JUJUの人気の秘密が“一見さん”にもとてもよくわかる素晴らしいライブだった。

 アンコールではJUJUの新曲「一線」(テレビ朝日系木曜ドラマ『グレイトギフト』主題歌)も初披露。スリリングなビートとメランコリックなサビのメロディ、〈ベルベットの夜の果て〉という歌詞など、昭和歌謡のテイスト漂う1曲が『スナックJUJU』にぴったりはまる1曲であった。

 今回の「スナックJUJU  東京ドーム店」は、まだまだ続くJUJUデビュー20周年の次なる幕開けを告げたライブでもあった。この先、全国アリーナツアー、フルオーケストラコンサート、恒例の『JAZZ LIVE』など、それぞれコンセプトも規模も違ったライブの開催が発表されている。昭和歌謡に限らず、ジャズ、R&B、ポップスなど多彩なルーツを歌いこなすJUJUの歌声が今年も全国に響き渡る。

■セットリスト
1.二人でお酒を
2.メモリーグラス
3.じれったい
4.桃色吐息
5.異邦人
6.CHA-CHA-CHA
7.め組のひと~違う、そうじゃない
8.ロンリー・チャップリン
9.私はピアノ
10.恋におちて
11.ラヴ・イズ・オーヴァー
12.翳りゆく部屋
13.フレンズ~RASPBERRY DREAM
14.Maybe Tomorrow
15.なごり雪
16.いとしのエリー
17.伊勢佐木町ブルース~どうにもとまらない
18.言葉にできない
19.Yes-No~ラブ・ストーリーは突然に
20.あゝ無情~嵐の素顔~淋しい熱帯魚~DESIRE-情熱-~ミ・アモーレ[Meu amor é...]
21.喝采
 【Encore】
EN1.一線
En2.JUJUメドレー2024
   (What You Want~素直になれたら~明日がくるなら~ラストシーン~この夜を止めてよ~S.H.E.~YOU~やさしさで溢れるように)

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